事例解説アウトライン2020-11-19
本件における結論は別として、一般論として具合のよくないことを種々述べている判決。
UMsは本人訴訟か。
損害賠償請求または不当利得返還請求の説明道具として独禁法を用いる訴訟
被告アリババの取引相手方である原告UMsの損害を支える利益侵害等を説明するには、優越的地位濫用または不要品強要型抱き合わせがストレートであり、
他者排除型抱き合わせはあまり念頭に置かれていない
基本的には、優越的地位濫用または不要品強要型抱き合わせを中心に、まとめて以下検討
被告アリババのサービス「C」(1審では「D」)
商品を売りたい事業者と商品を買いたい事業者を国際的にマッチングさせるサービス(Alibaba.com?)
「本件サポート」
英語能力や国際貿易の経験が不足している中堅・中小企業に対し(2審p7で追加)、1審p5のようなサービスを提供するもの。
原告の主張
日本企業向け月額13万円が、外国企業向け年額2999米ドルと比べて高すぎる。
「C」と「本件サポート」は別々の商品か(2審p8)
本判決は否定。
「本件サポート」は「C」上のサービスの利用に資する内容。密接に関連する。
被告は両者を個別に提供していない
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いずれも、別々の商品であることを否定する理由とはならない。
葉書事件
大阪地判平成4年8月31日・平成元年(ワ)第3987号・審決集39巻586頁
大阪高判平成6年10月14日・平成4年(ネ)第2131号・審決集41巻490頁
優越的地位/主たる商品役務の強さ
代替する手段が存しないとはいえない(2審p9)
「C」の本件プランの利用実績は3000社余(少なくという趣旨)
他の選択肢がある
海外展示会への出展や販売店舗の解説
「Dや自社ホームページの利用等」
2審がいう「D」は「C」ではないとみられる
この他にも海外販路を開拓するための方法は相当数存在するものと考えられる
その他(優越的地位濫用との関係で追加言及の要素)
全くの異業種(2審p10)
本件契約以前には両者間に取引関係なし(2審p10)
将来にわたって継続的取引の予定なし(2審p10)
中古機械の輸出等において依存なし(2審p10)
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代替手段なしについて
本件の具体的内容は不明
公取委の優越的地位の基準との比較
全くの異業種
当たり前であり、理由にならない。
新規取引
否定する理由にならない。
「取引開始時優越的地位」
一般論としてあり得る
コンビニ加盟店契約をめぐって否定した事例あり(セブン-イレブン収納代行サービス等)
東京地判平成23年12月22日・平成21年(ワ)第29786号・審決集58巻第2分冊255頁
東京高判平成24年6月20日・平成24年(ネ)第722号・審決集59巻第2分冊113頁
この問題に関する一連の文献がある
運動論的
一般論を論じているのか個別の当てはめを論じているのかが不明
継続的取引の予定なし
取引期間中の優越的地位を認めない理由とはならない
囲い込みを否定する要素とはなるかもしれない
中古機械の輸出等において依存なし
意味がいかようにも取れるのでコメントが難しい
濫用(不利益)
対価的不均衡なし
コストがかかっている
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外国との違いが、なお、大きすぎるという主張はあり得る
日本企業向けには本件サポート付きの取引のみ
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外国で安いのは、原告(等の日本企業)に対して高いことの説明として用いているものであるので、外国向けの安い商品役務が原告(等の日本企業)に売られているか否かは直接には関係がない