プレナスほっともっと
令和4年9月30日 札幌高裁判決
札幌高判令和4年9月30日・令和4年(ネ)第84号〔プレナスほっともっと〕
LEX/DB
「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法の考え方」を「本件指針」と呼ぶこととしたうえで、
控訴人が指摘する本件指針や小振法の規定は、フランチャイザー(本部)側がフランチャイジー(加盟者)を募集の場面において、独占禁止法上違反を未然に防止する目的・趣旨のものにすぎず、そこから直ちに控訴人が主張するように本件加盟契約を解釈すべき規範や経験則を見出すことはできない。その意味で、それらは本件加盟契約における合意内容を解釈するに当たって直接これを規制するものではなく、折込費用等の負担の合意に係る前記1で引用した認定が左右されるものではない。
(事実及び理由第3の2)
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第1審判決によれば、原告は、ガイドラインの「望ましい」条項を挙げているようであり、それについての判示である。
札幌地判令和4年1月20日・令和2年(ワ)第2015号〔プレナスほっともっと〕
LEX/DB
(以下、原告の主張として1審判決が引用するものから)
公正取引委員会は,「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法の考え方」を策定し,「募集にあたり加盟希望者の適正な判断に資するため,十分な情報が開示されていることが望ましい」とされ,「加盟者に対する事業活動上の指導の内容,方法,回数,費用負担に関する事項」「加盟後,本部の商標,商号等の使用,経営指導等の対価として加盟者が本部に定期的に支払う金銭(ロイヤルティ)の額,算定方法,徴収の時期,徴収の方法」などについて,「開示が的確に実施されることが望ましい」としている。フランチャイズ事業を営む被告は,募集段階で原告に示す文書の中で広告宣伝費等のほかに実費を徴収することも明示する必要がある。
まとめ
公取委ガイドラインにおいて「望ましい」とされた内容を根拠として民事裁判における契約解釈をしようとする主張に対し、そのようなガイドラインは独禁法違反を未然に防止する目的・趣旨のものにすぎず契約解釈のための規範や経験則をそこに見出すことはその事案ではできないとした事例。