セミナー資料2026-07_01
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平成期課徴金5件のうち最後に残った事件。最高裁判決の可能性がある。
5件はいずれも、大規模小売業者が甲、納入業者(数は100前後)が乙。
東京高判令和7年9月12日・令和元年(行ケ)第54号〔エディオン〕
事案の概要
家電量販店エディオンが、納入業者(数は100近い)に対し、店舗に関する作業について従業員等派遣を要請したことが、優越的地位濫用に該当するとして、平成24年に排除措置命令・課徴金納付命令がされたことに対する取消訴訟。
手続について
独禁法(公取委)の審判制度が廃止される前の手続規定が経過措置により最後まで適用される事件であり、公取委命令→公取委審決→第1審東京高裁判決→上告受理申立て等、という特殊な経路をたどっている。公取委が「審決」をしていること、その取消訴訟は東京高裁が第1審であること、などを押さえれば取り敢えず十分。
問題となった行為の概要
判決書9〜10頁
(「当裁判所の判断」42頁以下)
優越的地位
判決書62〜71頁(+71〜98頁)
従業員等派遣を要請したか
判決書98〜102頁
従業員等派遣の要請は不当か(「不利益行為」「濫用行為」)
判決書102〜104頁(概要)
詳論は134頁まで
課徴金計算(違反要件の個数など)は、独占禁止法の基本を理解するという観点からは、不要です。ただ、重要な点なので、コメント・問題提起は歓迎します。
白石忠志・NBL2026年7月1日号の骨子
優越的地位に関する判示をめぐって
前提
100前後の乙それぞれについて「優越的地位」などの要件の成否を判断
「優越的地位」の判断基準
甲が取引先である乙に対して優越した地位にあるとは、乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため、甲が乙にとって著しく不利益な要請等を行っても、乙がこれを受け入れざるを得ないような場合である。
必須説と有益説の争い
必須説
乙にとって甲との取引がなくては事業ができない(必須である)、という場合に甲の乙に対する「優越的地位」が成立
有益説
乙にとって甲との取引があるに越したことはない(有益である)、という場合に甲の乙に対する「優越的地位」が成立
「優越的地位」をめぐる現在の争いを言語化するとこうなる、というもの。
「絶対的優越/相対的優越」という議論との関係
「絶対的優越」は不要で「相対的優越」で足りる、という議論は、事案に無関係の乙(乙200とか乙300とか)を考慮した「市場」で「絶対的優越」は不要で乙1〜乙100に対する「相対的優越」で足りる、という意味で行われていたもの。
現在では、乙1〜乙100だけを取り出して議論することは当然となっており、その意味で、「絶対的優越/相対的優越」という議論をする必要はなくなっている。
ただ、有益説の側が、乙1〜乙100だけを取り出した議論において、緩い基準で「優越的地位」の成立を認めたいために、(本来は無関係であるにもかかわらず)「相対的優越」で足りる、という議論を強調していることは、よくある。
民事裁判事例
裁判所が、必須説を暗黙の当然の前提として原告の請求を退けている例が少なくない。
公取委・取消訴訟裁判所との整合性が問われる。
「優越的地位濫用関係の2条9項6号の指定は違法」論(私見)との関係
2条9項5号の範囲を(裁判で勝ちたいために)極限まで広げた結果、2条9項6号の独自の領域が残されていない。
公正競争阻害性・違反行為個数・課徴金計算に関する判示をめぐって
省略