セミナー資料2025-11_03
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#セミナー資料
取引の相手方のうち、違反行為の相手方とされたものは、
排除措置命令書では「特定ディーラー」と呼ばれており(排除措置命令書1頁で定義)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/sep/250918_daini_4.pdf
https://snk.jftc.go.jp/DC005/R070918R07J11000013K
「別表」を見れば38名であることや固有名詞がわかるはずであるが非公開である。
課徴金納付命令書では「違反行為の相手方」とされ、数は38名とされている。
https://snk.jftc.go.jp/DC005/R070918R07J03000021K
命令書の記載
違反要件(2条9項5号)に関することは排除措置命令書
課徴金要件(20条の6)に関することは課徴金納付命令書
優越的地位(排除措置命令書3頁(3))
以下の事情「等」により優越的地位がある。(エ)
「我が国における輸入小型自動二輪車の新規登録の台数の順位において第1位」
「大部分の特定ディーラーは、……販売拠点の設備等に対し多額の投資を行っていた。」
「特定ディーラーは、いずれも、……その総売上高に占めるHD商品に係る売上高の割合が高い者であった。」
「特定ディーラーの中には、……他の事業者との取引を開始又は拡大することにより、HD商品に係る売上高と同額又はそれ以上の額の売上高を確保することが困難な者が存在していた。」
濫用(排除措置命令書3〜7頁)
「あらかじめ計算できない不利益」よりは「合理的範囲を超える不利益」の色彩が強い事案
四半期ごとにあらかじめ立てる目標が過大であることが中心
(ロックインされている者に対する新たな四半期の要求なので、別の見方もあり得るかもしれない。)
挙げられた諸要素(「自社登録」など別紙で定義)
困難な目標と双方が認識(4頁(4))
自社登録による不利益(5頁(7))
RETAIL登録の場合
EX-DEMO登録の場合
協議なし、意見を述べる機会を与えず、十分な説明なし、要請したとしても協議を行うことはほとんどなく下方修正することもなかった
NGS評価(4頁(5)イで定義)を2回連続で下された場合の厳しい対応
自社登録の台数の割合(29%、34%)
「自社登録を行わなければ達成できないようなRSOを一方的に決めた上で、当該RSOに従って事業活動を行うことを余儀なくさせていた」(「法令の適用」)
課徴金
38名に対する売上額について、単一の始期・単一の終期(下記)
特徴
施行後15年の優越的地位濫用課徴金で、11年ぶり6件目の事件
フランチャイザーがフランチャイジー(ディーラー)に対して優越的地位濫用行為をしたとされる事案
平成20年代の課徴金5事件は、いずれも、大規模小売業者が納入業者に対して優越的地位濫用行為をしたとされたもの
優越的地位に関する争いの余地(?)
「特定ディーラー」でない「ディーラー」が、いるかのような表現とはなっているが(排除措置命令書1頁)、定かではない。
排除措置命令書3頁(3)の記載(上記)
「合理的範囲を超える不利益」の色彩が強い事案
課徴金
https://gyazo.com/5bac2eee5be472db071a0ba2bbef0399
38名に対する行為が、単一の始期から単一の終期まで、続いていた事案か(?)
例えば、従業員派遣の要請であれば、ずっと続けていたわけではない可能性が高い(?)のに対し、
本件は、厳しい目標設定が問題となっているので、期間中ずっと行っていたと言えるか(?)
参考
既存の事例は、いずれも単一の始期・単一の終期とする点で共通しているが、理由付けの構造が変化している。
ラルズ東京高裁判決(全ての公取委審決も同様)
https://snk.jftc.go.jp/DC005/R030303H31G09000013_
「不利益行為」を認定した上で、次のように述べて1個の違反行為とした。
原告においては,88社という多数の納入業者に対し,本件対象期間である平成21年4月20日から平成24年3月13日までという長期にわたって継続的に,原告の役員等の指示に基づき組織的,計画的に,一連の行為として,取引相手に不利益となる本件各行為に及んでいたのであるから,原告が納入業者に対する不利益行為の要請等を行えば,納入業者においてはこれに応じることを余儀なくされるような関係の下で,不利益行為に当たる本件各行為を一定期間,広範囲にわたって継続的に行っていたものというべきであり,納入業者の自由かつ自主的な判断による取引が阻害され,結果として,納入業者がその競争者との関係で不利となり,原告がその競争者との関係で優位となるおそれがあり,公正な競争秩序に悪影響を及ぼすおそれがあるものと認めるのが相当である。
→単一の始期・単一の終期
ダイレックス東京高裁判決
https://snk.jftc.go.jp/DC005/R050526R02G09000005K
違反行為である旨の「優越的地位の濫用についてのまとめ」をした上で、次のように述べて、1個の違反行為として課徴金計算
さらに、上記説示した課徴金制度の趣旨に照らせば、同種の優越的地位の濫用行為が複数の相手方に対して行われた場合のみならず、異なる種類の優越的地位の濫用行為が複数の相手方に対して行われた場合についても、それが、組織的かつ計画的に一連のものとして実行されたものと認められるなど、事業者の優越的地位の濫用行為として一体のものであると評価することができる場合には、全体として1個の違反行為がされたものとして、独占禁止法の規定を適用し、一律に違反行為期間を認めるのが相当というべきである。
→単一の始期・単一の終期