「抱き合わせ」について
約束事
主たる商品役務(tying product)
従たる商品役務(tied product)
独禁法による規制を考える場合、2通りの切り口がある
他者排除型
従たる商品役務の市場で他者を排除することを問題視する切り口
不要品強要型
需要者にとって不要なものを買わせることを問題視する切り口
一般指定10項
(抱き合わせ販売等)
10 相手方に対し、不当に、商品又は役務の供給に併せて他の商品又は役務を自己又は自己の指定する事業者から購入させ、その他自己又は自己の指定する事業者と取引するように強制すること。
昭和57年の一般指定全部改正で。
他者排除型と不要品強要型が、必ずしも明瞭に言語化されないまま、並べて掲げられていた。(下記)
他者排除型
他の他者排除行為より容易に弊害要件を満たすと考えられた時期もあったが
現在は、流通取引慣行ガイドラインの平成29年改定で、他の他者排除行為と同等の排除効果(市場閉鎖効果ともいう)があることが必要であることを明記。(下記)
不要品強要型
流通取引慣行ガイドラインは、平成29年の改定で、昭和57年の表現を踏襲。(下記)
他方で、優越的地位濫用においても、不要品強要型抱き合わせの観点からの規定がある(2条9項5号イ)。
実質的に優越的地位濫用の一種であるのだから、そのように取り扱うべき(私見)
「契約的抱き合わせ」と「技術的抱き合わせ」
抱き合わせの実効性確保手段にはいろいろとある、という話であり、区別する実益はない。
違反要件は同じ。
技術的必要性による正当化理由は、どちらでも出てくる。
抱き合わせの実効性確保手段として技術を用いるか否かと、正当化理由として技術的必要性が挙げられるか否かは、関係がない。
参考
取引拒絶と他者排除型抱き合わせは本質的に同じ問題であることを説明する図
https://stjp.sakura.ne.jp/_presen/keynote/RefusalToDeal_Tying.jpeg
田中寿編著『不公正な取引方法――新一般指定の解説――』(別冊NBL9号、商事法務研究会、昭和57年)
https://gyazo.com/a26470058ec916589dee4266840da94e
https://gyazo.com/3c6fcfbf8385b9d82ab5d3a240778051
https://gyazo.com/563dea38b06c8ddab51a1fb54f0b26ca
https://gyazo.com/3f5072054cd3a588bd6eaa1ab90ff569