fine
① 課徴金(行政当局によるものの場合)
② 罰金(刑罰に分類されるものの場合)
①の典型例はEUのものであるが、EUの「fine」は「制裁金」と訳されることが多い。しかしこれは、日本の課徴金について、課徴金は制裁ではないから刑罰と併存しても日本国憲法39条後段の二重処罰禁止に抵触しない、という説明が頑なに用いられていた時代に、制裁の色彩の強いEUの「fine」を「課徴金」と呼んだのでは自己矛盾のようで具合が悪い、という論理で生成された訳語であると思われる。現在では、日本の課徴金制度が憲法に違反しないことの説明は別の方法で行われており、日本の課徴金に制裁の色彩があることは否定されていないので、EUの「fine」に殊更に「課徴金」以外の訳語を充てる必要性は失われているように思われる。
もちろん、いずれにしても所詮、日本語というコップの中の表現の揺れに過ぎない。
①は「administrative fine」と呼ばれることも多い。