WBトランス
平成29年9月14日 大阪地判
大阪地判平成29年9月14日・平成27年(ワ)第12265号〔WBトランス〕
裁判所PDF40頁
原告が然るべき見返りを受けていることを理由に、一般指定12項の「不当に」が満たされないとされた事例
shiraishi.icon実質的には、一般指定12項でなく、2条9項5号における濫用がないとされた事例と位置付けられる。
「
5 争点5(原告が本件契約2においてしたフレーム実施料を支払う合意は公序良俗に反して無効か)について
(1)原告は,本件契約2のフレーム実施料がフレーム特許の実施料でないならば,これを支払う合意が独占禁止法の禁止する拘束条件付取引に該当すると主張している。
本件で原告が不当利得として返還請求しているのは,フレーム特許に係る特許権の消滅後,変成器・コイルボビン特許及び巻鉄心特許に係る特許権の消滅前に支払ったフレーム実施料であるから,その期間中にもフレーム実施料を支払うことを要するとの合意が原告の事業活動を「不当に」拘束するものかということが問題となる。
そこで,この点について検討すると,上記2で認定したとおり,本件のWBトランスの製造,販売事業の形態やフレームの性質に照らせば,フレームの製造,販売業者に選定されると,少なくとも変成器・コイルボビン特許と巻鉄心特許の存続中、事実上,独占的にフレームを製造,販売することができることになるのであるから,原告が少なくとも変成器・コイルボビン特許と巻鉄心特許の存続中,川鉄電設ないし被告の下で構築されたWBトランスの製造販売体制の下で,事実上,独占的にフレームを製造,販売することができ,安定的な収益を得られることに対する対価としてフレーム実施料を支払うことは経済的に合理的なことと認められる。
そうすると,少なくとも変成器・コイルボビン特許と巻鉄心特許の存続中,原告がフレーム実施料を支払うことを要するとの合意が,原告の事業活動を「不当に」拘束する条件をつけた取引に当たるものということはできない。
(2)したがって,原告の主張はその前提を欠き,採用できないから,本件契約2に係る請求は,争点6について判断するまでもなく,理由がないこととなる。
」