Spring2020_5 違反要件の概要
3つの違反要件
地位
不利益行為(濫用行為)
地位と不利益行為の関係
議論の前提
日本の課徴金制度(20条の6)は、甲の特定の乙に対する行為が違反である場合に、甲の当該特定の乙との取引額(売上額/購入額)の1%を課徴金とする。乙が複数いる場合、これらを合算する。
→ 乙が127社いれば、「甲と乙1」「甲と乙2」・・・「甲と乙127」というように地位と不利益行為について127通りの認定をする。
地位
乙が甲と取引する必要がある(不利益な扱いを受け入れざるを得ない立場)
公取委界隈は、「優越的地位」(相対的優越)で足り「支配的地位」(絶対的優越)は必要ない、と強調するが、程度の問題はともかく質的には同じではないか
つまり、
「他にない」━━━「切れない」
左に行くほど:「絶対的優越」「支配的地位」
右に行くほど:「相対的優越」「優越的地位」
課徴金事例における公取委の立場を言語化すれば
個別の乙における甲のシェアが一定以上であれば(かなり低い数字)甲は原則として優越的地位にある
個別の乙にとっての甲のシェア順位が一定以上であれば(かなり低い順位)甲は原則として優越的地位にある
濫用行為(不利益行為)
2つの視角
あらかじめ計算できない不利益
過大な不利益
考慮要素
その行為によって乙が得る「直接の利益」を超える
乙が売り手の場合、乙が原価割れとなるような買いたたき
交渉手続を尽くしていない
地位と不利益行為の関係
あまり議論されることはなかったが
個人情報がらみの議論で、
個人情報の不当取得・利用は地位がなくてもできるのではないか?という問題提起
個人情報等優越的地位濫用ガイドライン:「消費者の意に反して」などを強調