Spring2020 競争法の全体像、エンフォースメントの概要
2020-01-21
この連続セミナーについて
競争停止・他者排除・搾取・企業結合
競争法・反トラスト法・独禁法
競争法と条文
エンフォースメントの概要
調べ方
(できれば、次回の冒頭の次の項目も)
違反要件の構造
最近の「新しい議論」の位置付け
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-1710
この連続セミナーについて
進め方
レジュメに沿った解説
ご質問(事前・随時)への対応
前回にお配りする資料(★が付いているもの)について
第2回以降についてはScrapbox上で注目箇所をお知らせしますので、そこを簡単に眺める程度でOKです。
ご質問をお考えになる際の素材にするなど。
日程
原則として月曜
祝日(振替休日)を挟んで最終回(企業結合)
他のセミナーとの関係
公正取引協会セミナー
この連続セミナーは東京大学法学部での講義(2019)10回分のビジネスコミュニティ向け
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1710-1730
競争停止・他者排除・搾取・企業結合
競争法の目的
帰結か
機会・過程か
必ずしも条文と対応していない
競争停止
カルテル
ハードコアカルテル
非ハードコアカルテル
垂直的制限(のうち他者排除の要素の薄いもの)
他者排除
取引拒絶系
略奪廉売系
公正取引827号(令和元年)5頁(南部審査局長)
酒税法等の新規制は平成29年6月から
搾取
日本では優越的地位濫用と呼ばれる
(第5回で詳しく見るので今回は添付省略)
企業結合
企業結合により他の3種の弊害が生じやすくなる場合に企業結合を事前に禁止する
(第2回・第6回で詳しく見るので今回は添付省略)
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1735-1745
競争法・反トラスト法・独禁法
米国・EU・日本
この分野を指す様々な言葉
現在の国際的通称
1990年代以降
EU競争法の重要性の飛躍的増大
新興国による受容
1890年以降、この分野における世界の1強であった米国での呼称。
「競争法」という言葉の普及が、欧州の影響力の象徴
独禁法
1947年に制定された日本の競争法の名称「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」を略したもの。
経済法
もともとは、ドイツ語の学問分野名「Wirtschaftsrecht」の日本語訳
現在の日本では、独禁法を中心とした分野を取り扱う大学の科目名であり、司法試験の科目名。
その他の基本的な言葉
米国
反トラスト局長は、司法長官(Attorney General)の1つ下の役職なので「Assistant Attorney General」。
EU
Commissioner Vestager
日本
Glossary
英語の用語集を作っていますので検索窓にglossaryと入れてみてください。
調べたい英単語を検索窓に入れてみるという方法も
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1815-1820
競争法と条文
US・EU・日本の主要条文
カルテル周辺
(垂直的制限を含む)
US:Sherman Act §1
日本:不当な取引制限(2条6項)
日本では垂直的制限は多くの場合は不公正な取引方法(2条9項)
単独行為
(他者排除の大部分と搾取)
US:Sherman Act §2
USでは搾取は規制しない、とされている
日本:私的独占(2条5項)・不公正な取引方法(2条9項)
企業結合
US:クレイトン法7条
EU:EUMR(ECMR)
日本:10条、13〜17条
US:さらに多くの法律・条があり、複雑だが、略
日本:後記
結論としては、条文はあまり見なくてもよい
国際的に共通の議論がかなりの程度、行われている。
そこで育まれた共通の考え方を、法域ごとに調整しながら、最後に自法域の条文に落とし込んでいる、というイメージ。
その法域に特有の条文によって議論が制約されることはあるが、さほど重要でない制約が多い。
日本の司法試験界隈で「条文選択が重要」と言われるのは、たぶん別の事情。
例:インテル事件は、
取引拒絶系と考えればコスト割れが違反要件とならない
略奪廉売系と考えればコスト割れが違反要件となるか否かが論点となる
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1820-1840
エンフォースメントの概要
車の両輪
違反要件とエンフォースメント
次回以後は違反要件が中心
命令
課徴金納付命令 fine, administrative fine EU、日本
命令の司法審査 judicial review
確約認定 commitment decision(US: consent decree)
日本独禁法48条の2〜48条の9
警告
注意
★改正による名称の変遷図
刑罰
実際問題としてハードコアカルテルのみ
法人と自然人従業者
US、日本
競争当局が何らかのイニシャティブをとることになっている法域が多い
USは実刑の例が多数、日本は実刑の例なし
企業結合審査手続 merger review
事前届出 → 事前審査 → クリアランスまたは禁止命令
クリアランス
問題解消措置 remedy を条件とするもの
無条件のもの
禁止命令は、日本では1973年(昭和48年)が最後。
それ以外に、当事会社の側が取りやめる場合がある。
民事的エンフォースメント
損害賠償 damages recovery
US: 3倍賠償 treble damages、クラスアクション class action
EU:
差止請求 injunction
無効の主張
裁判所サイトPDF46〜48頁のみ
昭和30年代以後の独禁法改正は、基本的に全て、エンフォースメントの改正
★平成17年改正以後の改正の内容
いずれもハードコアカルテルに関係するもの。
課徴金
減免制度
秘匿特権
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1840-1850
調べ方
通常の「法の調べ方」以外のもの
公正取引委員会
各国競争当局・裁判所のウェブサイト、Twitterなど
公取委ウェブサイトの審決等データベース
収録されている主なもの
公取委の命令・審決
公取委が当事者である裁判の判決・決定(判決書等そのもの)
(審決等データベースが創始された平成10年代前半以前の時期については、審決集に登載された民事裁判も出ている場合がある)
独禁法リンク集
独禁法事例リスト
このレジュメの親元(白石の仕事用データベース)
日本の条文
e-Gov法令検索
独禁法の基本条文/私的独占・不公正な取引方法の条文
令和元年改正後独禁法全条文
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1850-1855
第2回が少し盛り沢山であるため、第1回の最後に第2回の第1項目くらいは少しこなしておきたいと考えています。
2020-01-21