2019A カルテル
2019-10-03①、2019-10-08②
8k90-119
ハードコアカルテル
ハードコアカルテルとは
当然違反と原則違反
意思の連絡
①のあとのリアクション
入札談合
移籍制限ルール
課徴金・刑罰
減免制度
②のあとのリアクション
非ハードコアカルテル
非ハードコアカルテルとハードコアカルテルとの違い
共通化割合
②のあとのリアクション
ハードコアカルテルとは
競争者同士の共同行為であって、行為要件が満たされれば高い確率で違反となり、強いエンフォースメントの対象となるもの。
日本では、課徴金の対象となる不当な取引制限の要件が、それに合致するように作られている。
不当な取引制限……であつて、商品若しくは役務の対価に係るもの又は商品若しくは役務の供給量若しくは購入量、市場占有率若しくは取引の相手方を実質的に制限することによりその対価に影響することとなるもの
当然違反と原則違反
特定の要件を満たせば、他の要件の充足の立証を要せず、違反となるという考え方。
ハードコアカルテルについて、行為要件を満たせば…、と考えられている法域は多い。
日本では、ハードコアカルテルでも、条文上、行為要件以外に要件(特に弊害要件)があるので、行為要件を満たせば原則として違反となる、というスタンス。
意思の連絡
合意 agreement は、ほぼ同じ意味。
立証
間接事実の積上げ
減免制度等による直接証拠の入手
例
ハブ&スポーク
https://gyazo.com/cce2e8abb3e6cee2a69ed35d9ec28808
競争者も同じ条件に従うことを確認したうえで相手方と取決めをした場合など
①のあとの質問(①はハブ&スポークの前まで)
因果関係の特殊条件の部分について、もともと弊害要件が満たされており、今回の企業合併によって殊更弊害強化があるわけでない場合には除外されるというのはあくまで企業結合審査の話であって、元々の弊害そのものについて別の形で規制が加えられる場合もあるという理解で良いでしょうか。
破綻企業論を因果関係として扱うと「市場にA,B,C,Dというシェアの似通った4社があって、破綻したBをAが結合すること」が認められないというお話があったかと思いますが、公取委が破綻企業論を正当化自由として扱いたくない理由は、こうした事例を認めたくないからという認識でよろしいのでしょうか。
USEN-NEXT HOLDINGS/キャンシステムの事例でなぜ公取委は正当化理由としての破綻企業論を使いたがらなかったのですか?労働者の救済という政策的判断は合理的で裁量が認められやすいと思うのですが、、
ハードコアカルテル
ハードコアカルテルが、多くの法域で行為要件のみを満たせば違反となり、厳しめの処罰を受けるということを学びました。同時に、ハードコアカルテルとそれ以外のカルテルの区別が問題となるケースもあるのではないかと感じました。
基本合意と個別調整
https://gyazo.com/6a361f9cfa775c77c4a9e1cdbbfcd57d
移籍制限ルール
引き抜き禁止協定 No-poach agreement
https://gyazo.com/6d59132724173de9501ab7e2e22b76a9
課徴金・刑罰
ハードコアカルテルに対し、
排除措置命令と損害賠償のほかに、
米国:刑罰
法人と自然人従業者
自然人従業者は実刑あり
DOJが提訴し裁判所が判断
裁量的(ガイドラインあり)で高額
「制裁金」と呼ぶ必要なし(私見)→ fineの解説 日本:課徴金と刑罰
課徴金(公取委が命令)
非裁量的
違反によって得た不当利益をもとに掛け算をして算出、という発想を基本として、計算式を法定
公取委が改めようとして種々動いたが反対等があってうまくいかず、一部のみがやや硬直的な形で実現した結果が令和元年改正 刑罰
公取委が告発→検察が起訴
これまでに実刑なし
減免制度 leniency
違反者による違反行為通報制度
下記のような状況のもとで成立している
行為要件を充足する行為(合意)の発見・立証が難しい
抑止・制裁の必要性が大きい
課徴金・刑罰が重い
違反者が常に複数
社内調査で発見したとき減免申請 leniency application すべきか否か
損害賠償等のデメリットが大きく減免申請が減っていると言われる(?)
減免申請後の調査協力
法的安定性 v 協力の継続的確保
令和元年改正後の独禁法7条の4
非ハードコアカルテルとハードコアカルテルとの違い
結果として、この記述はカルテルのページにおいてハードコアカルテルとまとめることになったので、ハードコアカルテルより前に置いておいたほうがわかりやすかったかもしれない。
ハードコアカルテル
行為要件を満たすか否かが焦点
非ハードコアカルテル(=業務提携)
弊害要件を満たすか否かが焦点
両者の区別
弊害をもたらす確率の高さ
悪性・・・課徴金・刑罰
共通化割合
内発的牽制力の状況を知るための指標
反競争性の成否は内発的牽制力だけで決まらないことに注意
販売段階の価格等のセンシティブ情報が共有されないようにする施策の意味
共同購入(練習問題)
川上市場での買う競争への弊害の有無(共同購入者が需要者となる市場)
購入価格を揃えるので購入価格カルテルだが、例外的に弊害要件の成否を論じ、市場シェアが低いことを根拠に違反なしとする(下記)
川下市場での売る競争への弊害の有無(共同購入者が供給者となる市場)
通常の業務提携と同様、内発的牽制力の有無(共通化割合の低高)を含み、弊害要件の成否を総合的に判断する(下記)
「その対象となる原材料等の需要全体に占める共同購入参加者のシェアが高い場合又は製品の販売分野における参加者のシェアが高く,製品製造に要するコストに占める共同購入の対象となる原材料等の購入額の割合が高い場合には,独占禁止法上問題が生じる。」
②のあとのリアクション
(次のものは、講義中に口頭で対応する時間もなく、ここで詳細に答える余裕もありませんので、簡単な感想だけ書いておきます。)
「だいぶ前の回へのリアクションなのですが,ミクロ経済学におけるConsumerは消費者を指すものであり,企業を指すものではないと思いました。」というご指摘をいただきました。
簡単な感想
「ミクロではConsumerは効用最大化を目的として予算制約の中で消費水準を決定すると仮定しています。消費者の需要曲線は予算と価格と効用関数によって導出されます。以下で重要になるのはConsumerの目的関数は効用関数であることです。」、「法人である企業は(法人擬制説に立つ場合)効用関数をもたないためにConsumerとして分析するための基礎を欠くこと」、とお書きになっています。このような区別が可能なのかどうか、白石にはよくわかりませんでした。
もし、「消費者」には企業は含まない(「消費」には企業の行動は含まない)、と明確に定義し、それに立脚した説得的な体系(需要者が狭義の消費者である場合と需要者が非消費者である場合に明確に分けた枠組み)を構築している教科書がありましたら、是非ご教示ください。
あえて談合を誘った上で減免制度を用いて他社を陥れようとする企業が生じないのだろうか
スポーツの移籍制限ルールは、競技の性質上必要なことだと理解できるが、選手の側からしたら(特に野球のドラフトなど)雇われ先を自由に選べないのが不憫に感じました。競争法とは論点がずれてしまうが、権利の侵害という観点での議論が尽くされているのか心配になりました。
前回の授業の最後で扱った練習問題[共同購入のこと?]について、もう一度説明していただけると幸いです。特に、川下市場で売る競争への弊害の有無の方が、最後駆け足であったこともあって、あやふやになってしまいました。