名宛人と名あて人
細かいけれど、訊かれること・説明が必要になること、も多いので。
かつては常用漢字表に「宛」がなかったため法令や命令書などでは「名あて人」が使われていた。
常用漢字表が新しくなったため(「宛」も加えられた)、平成22年11月30日の内閣法制局文書「法令における漢字使用等について」が定められ、以下のようになった。 法令改正の際には改正される項等について新ルールを適用する(内閣法制局文書附則3項)。
改正されない項等について、漢字使用の変更だけのための改正を行わなくても、差し支えないこととなっている(やはり内閣法制局文書附則3項)。したがって、同一の法令のなかで新旧の漢字使用が混在する場合がある。
平成25年改正後の独禁法では、例えば、49条以下の意見聴取手続の規定では「名宛人」だが、排除措置命令・課徴金納付命令に関する61条2項や62条2項では「名あて人」のままである。
令和元年改正で、62条2項のみ「名宛人」に改められた。
他にも、「全て」と「すべて」、などについて同じ現象がみられる。
平成22年11月30日以後に新規に作成される文書は、新ルールによって書けばよいので、法令の表記にかかわらず、公取委の命令書などは新ルールに従い「名宛人」で統一されている。
個人的な文書作成においては、「名宛人」と書くのを基本とし、条文の引用などの場合に原文が「名あて人」ならそれに従う、ということになろうか。
*上記のことの応用・類推でわかること。
景表法の関係法令をみると「付随」と「附随」が混在している。
最近、「覚せい剤」でなく「覚醒剤」と書くようになった気がする。
「醒」は平成22年に常用漢字表に加えられた。
「覚せい剤取締法」に改正がなかったので、そのままとなっていた。引用以外で書き下ろす場合は「覚醒剤」と書くべきであったが、あまり知られていなかった等。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第六十三号)により「覚せい剤取締法」も改正されることになり、この際、題名も含め、「覚醒剤」となった(令和2年4月1日から施行)。
送り仮名についても、多分、同じなので、
刑事訴訟法で「取調」と「取調べ」が混在している。