令和6年度相談事例7〔日本種苗協会〕
事案
事業者団体において、野菜種子の安定供給を目的として(26頁2末尾)、会員にアンケートを行い、野菜種子に係る生産地域ごとの作柄の傾向を示す情報を会員に提供する(28頁(1))。
規範(3柱書き)
8条1号
適用(3(1)・(2))
本件は、現在または将来の重要な競争変数に関する情報を共有するものではない。
28頁(1)。「重要な競争手段」としているが、この「競争手段」は、文脈上、競争変数のことである。
情報の管理は会員を含まない場で行い、客観的な統計処理等を行った上で会員に共有される。したがって、会員相互の行動が予測可能となるとか重要な競争変数に係る共通の意思が形成されることもない。
コメント
現在または将来の重要な競争変数に関する目安となるか否かに着目する事例の一つ 11k132-133
11kでは「価格」と書いたが、一般的には、「重要な競争変数」と書いたほうがベター(その分、わかりにくくはなる)
規範として8条1号が掲げられたのは、8条4号のような「制限」の意味合いが薄く、何かの行為によって自然に競争がなくなるという影響が起こるか否かを問題とするには、8条では1号しかない、ということであろう。
「競争回避」という言葉を使う教科書等が多い中で、白石独禁法講義や白石独占禁止法が「競争停止」という言葉を使っている主な理由は、このように、自然に競争がなくなるという影響も含めてカバーするには、他動詞的な言葉を使った「競争回避」より、自動詞的な意味を含む言葉を使った「競争停止」のほうが、優れていると考えているからである。
令和6年12月23日 事前相談回答
公取委公表令和6年12月23日〔日本種苗協会〕
狭義の事前相談である事前相談制度によるものであり、回答と同時に実名入りで公表される。それが、令和6年度相談事例集に収録された。 広義の事前相談
狭義の事前相談
一般相談