令和6年度相談事例4〔放送事業者広告表現考査共同実施〕
#令和6年度相談事例
事案
放送事業者が広告希望者(広告主)に広告枠を売るに際して行う「表現考査」を、共同して行う。
これまでは放送事業者がそれぞれ行ってきたので、重複があり、広告希望者から改善の要望があったとのこと(16頁(4))
事業者団体を設立して行う(16頁(5))
放送事業者が行う広告審査には、次の2種類がある。
表現考査
二次考査
規範(3(1))
2条6項の条文のみ
事業者団体を設立して行うということであるので、8条もあり得なくもないが、事業者団体を設立することそれ自体も含めて複数の事業者による共同行為と捉えているものと思われる。
適用(3(2))
以下の総合考慮により、「競争を実質的に制限する」を満たさない
ア1 表現考査の内容(品質)は、各種法令や業界団体の放送基準に準拠しているので、各社の差はない・・・もともと競争の余地がない
ア2 共同行為によらず独自に行うこともできる
(イは二次考査の関係であり、直接は関係がない。関係のないところでの競争制限を起こさないことを念のため確認しているだけである。)
ウ 共通化割合が小さい
エ 広告希望者に対する広告枠の販売の競争それ自体についてカルテルを行わない
コメント
上記のア1〜エの要素の並べ方の順序は、イが無関係の話であるなど、整理の余地があるが、中身には関係がない。
共通化割合は、価格の割合でなくコストの割合となっているが、その業界における算定の都合によるところもある。あまりこだわる必要はない。