ビザ・ワールドワイド・ジャパン
日経
クレジットカードの信用照会システムを巡り、他社のシステムの使用を制限した疑いが強まったとして、公正取引委員会は17日、米VISA(ビザ)の日本法人ビザ・ワールドワイド・ジャパン(東京・千代田)を独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで立ち入り検査した。
関係者によると、ビザは契約するカード会社に対し、他社の照会システムを使う場合はカード会社間で支払う「インターチェンジフィー(IRF)」と呼ばれる手数料を通常より高い料率に設定するよう求めた疑いがある。
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クレジットカード取引では、飲食店や小売店などの加盟店を管理するアクワイアラーと、カードを消費者に発行するイシュアーと呼ばれる二つのカード取扱会社の間で、決済ネットワークサービスを使った代金の請求・立て替え払いや限度額などの与信確認が行われる。その際、手数料のインターチェンジフィー(IRF)が発生し、料率は国際ブランドが決定している。
関係者によると、ビザはIRFの決定権を悪用。料率を引き上げない代わりに自社の決済サービスへ乗り換えるよう、アクワイアラーとイシュアーに強要した疑いが持たれている。決済サービスは複数の事業者が競合しており、ビザは自社のシェア拡大によって決済手数料収入を増やす狙いだったとみられる。
公取委はこうした行為が、取引相手との「拘束条件付き取引」や競争相手への「取引妨害」といった独禁法が禁じる不公正な取引方法に該当するとみている模様だ。
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クレジットカード業界は、決済機能を提供するVisaなどの「国際ブランド」、カードを発行して審査など会員管理を担う「カード発行会社」、クレジットカード決済ができる加盟店の新規開拓などを行う「加盟店管理会社」で成り立っている。
信用照会は、飲食店などの店舗とVisaブランドのカード利用契約を結んだ加盟店管理会社が、消費者にカードを発行したカード発行会社に対して行う。照会の結果、問題なく決済が成立すれば、店舗と契約を結んだ加盟店管理会社が、カード発行会社に決済手数料を支払う。
関係者によると、Visa側は遅くとも数年前から、加盟店管理会社に対し、利用者がカードを利用する際、「不正利用や偽造の形跡はないか」「限度額は超えていないか」といった照会を自社のシステムを使うよう要求。信用照会システムのライバル会社であるNTTデータ(東京)などのサービスを使って照会した場合は、Visa側が加盟店管理会社に課す決済手数料を引き上げることを説明会や文書などを通じて伝えていたという。
強要を受けたとされるのは、カード発行と加盟店管理を行う三井住友カード、楽天カード、セゾンカード、UCカード、ニコスカードなど。いずれも店舗と利用契約を結んでいるケースが多く、決済手数料の上昇で利益が減ることを恐れ、不当な要求に従わざるを得なかったとみられる。
日本クレジット協会によると、昨年のクレジットカード利用額は5年前から約40兆円増の約105兆円。Visaブランドのシェア(市場占有率)は約5割を占めているという。