セミナー資料2025-11_04
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#サエキ対外国自動車輸入協同組合
東京地判令和6年2月8日・令和4年(ワ)第16794号〔サエキ対外国自動車輸入協同組合〕
籔内俊輔・ジュリスト2025年6月号(1611号)
原告
会社(サエキ)(13頁)
代表取締役X
被告
外国自動車輸入協同組合(FAIA)(12頁)
前理事長Hが代表取締役の会社エリートスポーツ
現理事長Eが代表取締役の会社マリオット・マーキーズ
(今でもサエキは組合の組合員)
「表記金利」(10頁)
「顧客に対して表示する金利」
(以下の1.7%や1.5%は全て表記金利)
組合が、サエキに対し、オートローン利率を1.7%より引き下げないようにさせた、との主張。
一般指定14項 →(独禁法19条、8条5号)→ 独禁法24条
14 自己又は自己が株主若しくは役員である会社と国内において競争関係にある他の事業者とその取引の相手方との取引について、契約の成立の阻止、契約の不履行の誘引その他いかなる方法をもつてするかを問わず、その取引を不当に妨害すること。
第二十四条 第八条第五号又は第十九条の規定に違反する行為によつてその利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、これにより著しい損害を生じ、又は生ずるおそれがあるときは、その利益を侵害する事業者若しくは事業者団体又は侵害するおそれがある事業者若しくは事業者団体に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
「本件各行為」(原告の主張)(5頁)
「本件行為〈1〉」(原告の主張)
オリコの指示と偽りながら1.7%未満としないよう指示
「本件行為〈2〉」(原告の主張)
オリコの担当者に対し、不満を述べて圧力
「本件行為〈3〉」(原告の主張)
原告に対し、1.5%のオートローン利率を短期間のキャンペーンとするよう圧力
「本件行為〈4〉」(原告の主張)
原告Xが理事に選任されることを妨害
XがH・Eに無断で録音したやり取り
11〜13頁
「本件行為〈1〉」に関する認定(13〜15頁)
偽っていない
指示していない(Xは自己の判断で従った)
「本件行為〈2〉」に関する認定(15頁)
不満・圧力はない(11頁(6)の限度で認定)
「本件行為〈3〉」に関する認定(15頁)
自由に設定できる旨を伝えた
(録音されていることを知らなかったのに妥当なやり取りをしたことが有利に評価されている。)
「本件行為〈4〉」に関する認定(15〜16頁)
妨害を認定できない
一般指定14項
独禁法19条、2条9項6号ヘ及び一般指定14項が、競争者に対する取引を不当に妨害することを禁止している趣旨は、このような行為が価格と品質による能率競争を歪めるおそれがあることによるものであることに照らせば、本件のような競業者に干渉する方法での取引の妨害が問題となる事案における「不当」な取引妨害該当性は、取引の内容・性質、妨害の態様・目的等を考慮し、競業者の自由な競争を損なう手段が用いられたか否かによって判断することが相当である。
不正手段型を想定した判示
一般指定14項
他者排除
不正手段型
排除効果必要型
本件伝達が、競争停止の観点から問題となり得ること(一般指定12項)を意識した判示(16頁)
なお、この点に関し、原告会社が本件伝達に応じたこと自体は、公益の観点から自由競争を阻害するおそれがあるものとして問題があり得るとしても、これを被告らの原告会社に対する不当な取引妨害と評価することはできない。
独禁法24条
独禁法24条にいう「著しい損害を生じ、又は生ずるおそれ」があるか否かは、同条所定の独禁法違反行為による利益の侵害の態様及び程度並びにこれによる損害の性質、程度及び損害の回復の困難の程度等を総合考慮して判断すべきものと解される。
「本件伝達に反してシェアを取る行動に出ていること」を、「著しい損害を生じ、又は生ずるおそれ」がないとする理由の一つとしているが、がんばればそれだけダメということになり、その意味では問題があるのではないか。(本件では小さな問題)