セミナー資料2025-11_03
取引の相手方のうち、違反行為の相手方とされたものは、
排除措置命令書では「特定ディーラー」と呼ばれており(排除措置命令書1頁で定義)
「別表」を見れば38名であることや固有名詞がわかるはずであるが非公開である。
課徴金納付命令書では「違反行為の相手方」とされ、数は38名とされている。
命令書の記載
違反要件(2条9項5号)に関することは排除措置命令書のみ
違反要件以外(20条の6など)に関することは課徴金納付命令書
優越的地位(排除措置命令書3頁(3))
以下の事情「等」により優越的地位がある。(エ)
「我が国における輸入小型自動二輪車の新規登録の台数の順位において第1位」
「大部分の特定ディーラーは、……販売拠点の設備等に対し多額の投資を行っていた。」
「特定ディーラーは、いずれも、……その総売上高に占めるHD商品に係る売上高の割合が高い者であった。」
「特定ディーラーの中には、……他の事業者との取引を開始又は拡大することにより、HD商品に係る売上高と同額又はそれ以上の額の売上高を確保することが困難な者が存在していた。」
濫用(排除措置命令書3〜7頁)
「あらかじめ計算できない不利益」よりは「合理的範囲を超える不利益」の色彩が強い事案
四半期ごとにあらかじめ立てる目標が過大であることが中心
挙げられた諸要素
困難な目標と双方が認識(4頁(4))
自社登録による不利益(5頁(7))
RETAIL登録の場合
EX-DEMO登録の場合
協議なし、意見を述べる機会を与えず、十分な説明なし、要請したとしても協議を行うことはほとんどなく下方修正することもなかった
NGS評価(4頁(5)イで定義)を2回連続で下された場合の厳しい対応
自社登録の台数の割合(29%、34%)
「自社登録を行わなければ達成できないようなRSOを一方的に決めた上で、当該RSOに従って事業活動を行うことを余儀なくさせていた」(「法令の適用」)
課徴金
38名に対する売上額について、単一の始期と単一の終期
特徴
施行後15年の優越的地位濫用課徴金で、11年ぶり6件目の事件
フランチャイザーがフランチャイジー(ディーラー)に対して優越的地位濫用行為をしたとされる事案
平成20年代の課徴金5事件は、いずれも、大規模小売業者が納入業者に対して優越的地位濫用行為をしたとされたもの
優越的地位に関する争いの余地(?)
「特定ディーラー」でない「ディーラー」が、いるかのような表現とはなっているが(排除措置命令書1頁)、定かではない。
排除措置命令書3頁(3)の記載(上記)
「合理的範囲を超える不利益」の色彩が強い事案
課徴金
38名に対する行為が、単一の始期から単一の終期まで、続いていた事案か(?)
例えば、従業員派遣の要請であれば、ずっと続けていたわけではない可能性が高い(?)のに対し、
本件は、厳しい目標設定が問題となっているので、期間中ずっと行っていたか(?)
参考
公取委審決とラルズ東京高裁判決
多数に対する「不利益行為」の認定について、それらをまとめれば「公正な競争を阻害するおそれがある」という形で、1個の違反行為を認定
→単一の始期・単一の終期
ダイレックス東京高裁判決
多数に対する「不利益行為」の認定をした上で、「いずれも」違反行為であると「優越的地位の濫用についてのまとめ」をした上で、「組織的かつ計画的に一連のものとして実行された」という認定をして、1個の違反行為として課徴金計算
→単一の始期・単一の終期