ステマ規制運用基準
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「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準
令和5年3月28日 消費者庁長官決定
消費者庁長官の決定に基づき、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(令和5年内閣府告示第19号)の運用基準を次のとおり定めたので、これによられたい。
「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準
第1 「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の規制趣旨
「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(令和5年内閣府告示第19号)とは、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示(以下、「事業者の表示」という。)であるにもかかわらず、事業者の表示であることを明瞭にしないことなどにより、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難となる表示である。
一般消費者は、事業者の表示であると認識すれば、表示内容に、ある程度の誇張・誇大が含まれることはあり得ると考え、商品選択の上でそのことを考慮に入れる一方、実際には事業者の表示であるにもかかわらず、第三者の表示であると誤認する場合、その表示内容にある程度の誇張・誇大が含まれることはあり得ると考えないことになり、この点において、一般消費者の商品選択における自主的かつ合理的な選択が阻害されるおそれがある。
そのため、告示は、一般消費者に事業者の表示ではないと誤認される、又は誤認されるおそれがある表示を、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある不当な表示として規制するものである。事業者は、自らが供給する商品又は役務についての表示を行うに当たっては、一般消費者に、事業者の表示であるにもかかわらず、第三者による表示であるかのような誤認を与えないようにする必要がある。
なお、上記のとおり、告示は、事業者の表示であるにもかかわらず、第三者の表示であると一般消費者に誤認される場合を規制するものであることから、告示が対象とするのは、事業者の表示であるにもかかわらず、第三者の表示のように見えるものである。したがって、事業者の表示であることが一般消費者にとって明瞭である又は社会通念上明らかであるものは、告示の対象となるものではなく、告示は、そのようなものについての事業者の自由な広告・宣伝活動を阻害するものではない。
(注) 告示は、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)第5条第3号の規定に基づくものであり、告示においても景品表示法に規定される定義が前提となる。告示の対象となるのは、景品表示法第2条第1項に規定する「事業者」が行う同条第4項に規定する「表示」である。したがって、事業者でない者が行う行為については、何ら告示の対象となるものではない。なお、事業者の表示であるにもかかわらず、第三者の表示であると一般消費者に誤認されないようにするためには、事業者が第三者の表示において、事業者の表示であることを明瞭にしなければならないことの結果として、第三者の表示に対しても一定の制約が事実上課せられることとなるが、かかる制約は、一般消費者の商品選択における自主的かつ合理的な選択を確保するという景品表示法の目的達成の観点から行われるものであり、第三者の自由な表現活動を不当に制約しようとするものではない。
第2 告示の「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示」についての考え方
告示の対象となるのは、外形上第三者の表示のように見えるものが事業者の表示に該当することが前提となる。
景品表示法は、第5条において、事業者の表示の内容について、一般消費者に誤認を与える表示を不当表示として規制するものであるところ、外形上第三者の表示のように見えるものが、事業者の表示に該当するとされるのは、事業者が表示内容の決定に関与したと認められる、つまり、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められない場合である。
なお、告示の対象となる事業者の表示において、景品表示法第5条第1号、第2号又は第3号の規定に基づく他の告示の規定に該当する表示がある場合には、これらの表示が景品表示法第5条違反とされる。
また、他法令の適用がある場合であっても、事業者が表示内容の決定に関与したとされる実態があるものについては、他法令だけでなく、告示の対象となる(例えば、特定商取引に関する法律における連鎖販売取引)。
1 事業者が表示内容の決定に関与したとされるものについて
(1) 事業者が自ら行う表示について
ア 事業者が自ら行う表示には、事業者が自ら表示しているにもかかわらず第三者が表示しているかのように誤認させる表示、例えば、事業者と一定の関係性を有し、事業者と一体と認められる従業員や、事業者の子会社等の従業員が行った事業者の商品又は役務に関する表示も含まれる。
イ 「事業者と一定の関係性を有し、事業者と一体と認められる従業員や、事業者の子会社等の従業員が行った事業者の商品又は役務に関する表示」が事業者の表示に該当するかについては、例えば、従業員の事業者内における地位、立場、権限、担当業務、表示目的等の実態を踏まえて、事業者が表示内容の決定に関与したかについて総合的に考慮し判断する。その判断に当たっては、例えば、以下のような場合が考えられる。
(ア) 「事業者と一定の関係性を有し、事業者と一体と認められる従業員や、事業者の子会社等の従業員が行った事業者の商品又は役務に関する表示」が事業者の表示に該当するものとしては、商品又は役務の販売を促進することが必要とされる地位や立場にある者(例えば、販売や開発に係る役員、管理職、担当チームの一員等)が、当該商品又は役務の販売を促進するための表示(例えば、商品又は役務の画像や文章を投稿し一般消費者の当該商品又は役務の認知を向上させようとする表示、自社製品と競合する他社の製品を誹謗中傷し、自社製品の品質・性能の優良さについて言及する表示)を行う場合(他の者に指示をして表示を行わせる場合を含む。)。
(イ) 「事業者と一定の関係性を有し、事業者と一体と認められる従業員や、事業者の子会社等の従業員が行った事業者の商品又は役務に関する表示」が事業者の表示に該当しないものとしては、商品又は役務を販売する事業者の従業員や当該事業者の子会社等の従業員ではあるものの、当該商品又は役務の販売を促進することが必要とされる地位や立場にはない者が、当該商品又は役務に関して一般消費者でも知り得る情報を使うなどし、当該商品又は役務の販売を促進する目的ではない表示を行う場合。
(2) 事業者が第三者をして行わせる表示について
ア
事業者が第三者をして行わせる表示が事業者の表示となるのは、事業者が第三者の表示内容の決定に関与している場合であって、例えば、以下のような場合が考えられる。
(ア) 事業者が第三者に対して当該第三者のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)上や口コミサイト上等に自らの商品又は役務に係る表示をさせる場合。
(イ) EC(電子商取引)サイトに出店する事業者が、いわゆるブローカー(レビュー等をSNS等において募集する者)や自らの商品の購入者に依頼して、購入した商品について、当該ECサイトのレビューを通じて表示させる場合。
(ウ) 事業者がアフィリエイトプログラムを用いた表示を行う際に、アフィリエイターに委託して、自らの商品又は役務について表示させる場合。
(注) 「アフィリエイトプログラム」とは、インターネットを用いた広告手法の一つである(以下広告される商品又は役務を供給する事業者を「広告主」と、広告を掲載するウェブサイトを「アフィリエイトサイト」と、アフィリエイトサイトを運営する者を「アフィリエイター」という。)。アフィリエイトプログラムのビジネスモデルは、比較サイト、ポイントサイト、ブログその他のウェブサイトの運営者等が当該サイト等に当該運営者等以外の者が供給する商品又は役務のバナー広告、商品画像リンク及びテキストリンク等を掲載し、当該サイト等を閲覧した者がバナー広告、商品画像リンク及びテキストリンク等をクリックしたり、バナー広告、商品画像リンク及びテキストリンク等を通じて広告主のサイトにアクセスして広告主の商品又は役務を購入したり、購入の申込みを行ったりした場合等、あらかじめ定められた条件に従って、アフィリエイターに対して広告主から成功報酬が支払われるものであるとされている。
(エ) 事業者が他の事業者に依頼して、プラットフォーム上の口コミ投稿を通じて、自らの競合事業者の商品又は役務について、自らの商品又は役務と比較した、低い評価を表示させる場合。
イ
事業者が第三者に対してある内容の表示を行うよう明示的に依頼・指示していない場合であっても、事業者と第三者との間に事業者が第三者の表示内容を決定できる程度の関係性があり、客観的な状況に基づき、第三者の表示内容について、事業者と第三者との間に第三者の自主的な意思による表示内容とは認められない関係性がある場合には、事業者が表示内容の決定に関与した表示とされ、事業者の表示となる。
「客観的な状況に基づき、第三者の表示内容について、事業者と第三者との間に第三者の自主的な意思による表示内容とは認められない関係性がある」かどうかの判断に当たっては、事業者と第三者との間の具体的なやり取りの態様や内容(例えば、メール、口頭、送付状等の内容)、事業者が第三者の表示に対して提供する対価の内容、その主な提供理由(例えば、宣伝する目的であるかどうか。)、事業者と第三者の関係性の状況(例えば、過去に事業者が第三者の表示に対して対価を提供していた関係性がある場合に、その関係性がどの程度続いていたのか、今後、第三者の表示に対して対価を提供する関係性がどの程度続くのか。)等の実態も踏まえて総合的に考慮し判断する。
(注) 事業者が第三者の表示に対して支払う対価については、金銭又は物品に限らず、その他の経済上の利益(例えば、イベント招待等のきょう応)など、対価性を有する一切のものが含まれる。
事業者が第三者に対してある内容の表示を行うよう明示的に依頼・指示していない場合であっても、事業者の表示とされる場合としては、例えば、以下のような場合が考えられる。
(ア) 事業者が第三者に対してSNSを通じた表示を行うことを依頼しつつ、自らの商品又は役務について表示してもらうことを目的に、当該商品又は役務を無償で提供し、その提供を受けた当該第三者が当該事業者の方針や内容に沿った表示を行うなど、客観的な状況に基づき、当該表示内容が当該第三者の自主的な意思によるものとは認められない場合。
(イ) 事業者が第三者に対して自らの商品又は役務について表示することが、当該第三者に経済上の利益をもたらすことを言外から感じさせたり(例えば、事業者が第三者との取引には明示的に言及しないものの、当該第三者以外との取引の内容に言及することによって、遠回しに当該第三者に自らとの今後の取引の実現可能性を想起させること。)、言動から推認させたりする(例えば、事業者が第三者に対してSNSへの投稿を明示的に依頼しないものの、当該第三者が投稿すれば自らとの今後の取引の実現可能性に言及すること。)などの結果として、当該第三者が当該事業者の商品又は役務についての表示を行うなど、客観的な状況に基づき、当該表示内容が当該第三者の自主的な意思によるものとは認められない場合。
2 事業者が表示内容の決定に関与したとされないものについて
事業者が第三者の表示に関与したとしても、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められるものであれば、事業者の表示には当たらない。
具体的には、次のとおりである。
(1)
第三者が自らの嗜好等により、特定の商品又は役務について行う表示であって、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合は、通常、事業者が表示内容の決定に関与したとはいえないことから、事業者の表示とはならない。
「客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合」を判断するに当たっては、第三者と事業者との間で表示内容について情報のやり取りが直接又は間接的に一切行われていないか、事業者から第三者に対し、表示内容に関する依頼や指示があるか、第三者の表示の前後において、事業者が第三者の表示内容に対して対価を既に提供しているか、過去に対価を提供した関係性がどの程度続いていたのか、あるいは今後提供することが決まっているか、今後対価を提供する関係性がどの程度続くのかなど、事業者と第三者との間に事業者が第三者の表示内容を決定できる程度の関係性があるか否かによって判断する。また、「事業者と第三者との間に事業者が第三者の表示内容を決定できる程度の関係性があるか否か」の判断に当たっては、表示の対象となった商品又は役務の特性等(例えば、特定の季節のみに販売数量が増える商品であるか。)の事情を考慮する。
上記の事情を踏まえ、「客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合」、つまり、事業者の表示とならない場合としては、例えば、以下のような場合が考えられる。
ア 第三者が事業者の商品又は役務について、SNS等に当該第三者の自主的な意思に基づく内容として表示(複数回の表示も含む。)を行う場合。
イ 事業者が第三者に対して自らの商品又は役務を無償で提供し、SNS等を通じた表示を行うことを依頼するものの、当該第三者が自主的な意思に基づく内容として表示を行う場合。
ウ アフィリエイターの表示であっても、事業者と当該アフィリエイターとの間で当該表示に係る情報のやり取りが直接又は間接的に一切行われていないなど、アフィリエイトプログラムを利用した広告主による広告とは認められない実態にある表示を行う場合。
エ ECサイトに出店する事業者の商品を購入する第三者が、自主的な意思に基づく内容として当該ECサイトのレビュー機能を通じて、当該事業者の商品等の表示を行う場合。
オ ECサイトに出店する事業者が自らの商品の購入者に対して当該ECサイトのレビュー機能による投稿に対する謝礼として、次回割引クーポン等を配布する場合であっても、当該事業者(当該事業者から委託を受けた仲介事業者を含む。)と当該購入者との間で、当該購入者の投稿(表示)内容について情報のやり取りが直接又は間接的に一切行われておらず、客観的な状況に基づき、当該購入者が自主的な意思により投稿(表示)内容を決定したと認められる投稿(表示)を行う場合。
(注) なお、商品の購入者の投稿(表示)内容について情報のやり取りが直接又は間接的に一切行われておらず、客観的な状況に基づき、当該購入者が自主的な意思により投稿(表示)内容を決定したと認められる場合に、例えば、当該購入者の投稿(表示)内容に誤記があり、当該商品を販売する事業者等の社会的評価を低下させるようなおそれがあるため、当該事業者が当該購入者に対して投稿(表示)内容の修正を依頼したとしても、それだけをもって、当該購入者の表示が当該事業者の表示とされるものではない。
カ 第三者が、事業者がSNS上で行うキャンペーンや懸賞に応募するために、当該第三者の自主的な意思に基づく内容として当該SNS等に表示を行う場合。
キ 事業者が自社のウェブサイトの一部において、第三者が行う表示を利用する場合であっても、当該第三者の表示を恣意的に抽出すること(例えば、第三者のSNSの投稿から事業者の評判を向上させる意見のみを抽出しているにもかかわらず、そのことが一般消費者に判別困難な方法で表示すること。)なく、また、当該第三者の表示内容に変更を加えること(例えば、第三者のSNSの投稿には事業者の商品等の良い点、悪い点の両方が記載してあるにもかかわらず、その一方のみの意見を取り上げ、もう一方の意見がないかのように表示すること。)なく、そのまま引用する場合。
(注) ただし、上記キについては、客観的な状況に基づき、事業者のウェブサイトの一部について第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合は、当該ウェブサイトの一部のみをもって当該事業者の表示とされないことを示すものであって、当該ウェブサイトの一部を含めたウェブサイト全体が当該事業者の表示とされることは当然にあり得る。なお、この場合、当該ウェブサイト全体は、通常、当該事業者の表示であることが明らかであるといえる。
ク 事業者が不特定の第三者に対して試供品等の配布を行った結果、当該不特定の第三者が自主的な意思に基づく内容として表示を行う場合。
ケ 事業者が特定の第三者(例えば、事業者が供給する商品又は役務について会員制(一定の登録者に対して一定の便益を付与する制度等)を設けている場合における会員)に対して試供品等の配布を行った結果、当該特定の第三者が自主的な意思に基づく内容として表示を行う場合。
コ 事業者が表示内容を決定できる程度の関係性にない第三者に対して表示を行わせることを目的としていない商品又は役務の提供(例えば、単なるプレゼント)をした結果、当該第三者が自主的な意思に基づく内容として表示を行う場合。
(2)
新聞・雑誌発行、放送等を業とする媒体事業者(インターネット上で営む者も含む。)が自主的な意思で企画、編集、制作した表示については、通常、事業者が表示内容の決定に関与したといえないことから、事業者の表示とはならない。
ア 媒体事業者が自主的な意思で企画、編集、制作した表示には、正常な商慣習における取材活動に基づく記事の配信、書評の掲載、番組放送(事業者の協力を得て制作される番組放送も含む。)等が含まれる。
イ ただし、媒体事業者の表示であっても、事業者が表示内容の決定に関与したとされる場合は、事業者の表示となる。この判断の際には、正常な商慣習を超えた取材活動等である実態(対価の多寡に限らず、これまでの取引実態と比較して、事業者が媒体事業者に対して通常考えられる範囲の取材協力費を大きく超えるような金銭等の提供、通常考えられる範囲を超えた謝礼の支払等が行われる場合)にあるかどうかが考慮要素となる。
第3 告示の「一般消費者が当該表示であることを判別することが困難である」についての考え方
告示は、事業者の表示であるにもかかわらず、第三者の表示であると一般消費者に誤認される場合を規制するものであることから、「一般消費者が当該表示であることを判別することが困難である」かどうかに当たっては、一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっているかどうか、逆にいえば、第三者の表示であると一般消費者に誤認されないかどうかを表示内容全体から判断することになる。
1 一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっていないものについて
一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっていないものとしては、事業者の表示であることが記載されていないものと事業者の表示であることが不明瞭な方法で記載されているものに分けられる。
(1) 事業者の表示であることが記載されていないものについて
事業者の表示であることが記載されていないものとしては、例えば、以下のような場合が考えられる。
ア 事業者の表示であることが全く記載されていない場合。
イ 事業者がアフィリエイトプログラムを用いた表示を行う際に、アフィリエイトサイトに当該事業者の表示であることを記載していない場合。
(注) 複数の商品又は役務の価格情報や内容等を比較するアフィリエイトサイトにおいては、アフィリエイトサイト自体が一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっている限り、一般消費者が第三者の表示であると誤認することはないことから、掲載されている全ての商品又は役務について、それぞれ当該事業者の表示であることを記載する必要はない。
(2) 事業者の表示であることが不明瞭な方法で記載されているものについて
事業者の表示であることが不明瞭な方法で記載されているものとしては、例えば、以下のような場合が考えられる。
ア 事業者の表示である旨について、部分的な表示しかしていない場合。
イ 文章の冒頭に「広告」と記載しているにもかかわらず、文中に「これは第三者として感想を記載しています。」と事業者の表示であるかどうかが分かりにくい表示をする場合。あるいは、文章の冒頭に「これは第三者としての感想を記載しています。」と記載しているにもかかわらず、文中に「広告」と記載し、事業者の表示であるかどうかが分かりにくい表示をする場合。
ウ 動画において事業者の表示である旨の表示を行う際に、一般消費者が認識できないほど短い時間において当該事業者の表示であることを示す場合(長時間の動画においては、例えば、冒頭以外(動画の中間、末尾)にのみ同表示をするなど、一般消費者が認識しにくい箇所のみに表示を行う場合も含む。)。
エ 一般消費者が事業者の表示であることを認識できない文言を使用する場合。
オ 事業者の表示であることを一般消費者が視認しにくい表示の末尾の位置に表示する場合。
カ 事業者の表示である旨を周囲の文字と比較して小さく表示した結果、一般消費者が認識しにくい表示となった場合。
キ 事業者の表示である旨を、文章で表示しているものの、一般消費者が認識しにくいような表示(例えば、長文による表示、周囲の文字の大きさよりも小さい表示、他の文字より薄い色を使用した結果、一般消費者が認識しにくい表示)となる場合。
ク 事業者の表示であることを他の情報に紛れ込ませる場合(例えば、SNSの投稿において、大量のハッシュタグ(SNSにおいて特定の話題を示すための記号をいう。「#」が用いられる。)を付した文章の記載の中に当該事業者の表示である旨の表示を埋もれさせる場合)。
2 一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっているものについて
(1)
一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっていると認められるためには、一般消費者にとって、表示内容全体から、事業者の表示であることが分かりやすい表示となっている必要がある。例えば、以下の場合が考えられる。
ア 「広告」、「宣伝」、「プロモーション」、「PR」といった文言による表示を行う場合。
(注) ただし、これらの文言を使用していたとしても、表示内容全体から一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっていると認められない場合もある。
イ 「A社から商品の提供を受けて投稿している」といったような文章による表示を行う場合。
(2)
前記第1のとおり、事業者の表示であることが一般消費者にとって明瞭である又は社会通念上明らかであるものは、告示の対象となるものではない。例えば、以下のような場合が考えられる。
ア 放送におけるCMのように広告と番組が切り離されている表示を行う場合。
イ 事業者の協力を得て制作される番組放送や映画等において当該事業者の名称等をエンドロール等を通じて表示を行う場合。
ウ 新聞紙の広告欄のように「広告」等と記載されている表示を行う場合。
エ 商品又は役務の紹介自体が目的である雑誌その他の出版物における表示を行う場合。
オ 事業者自身のウェブサイト(例えば、特定の商品又は役務を特集するなど、期間限定で一般消費者に表示されるウェブサイトも含む。)における表示を行う場合。
(ア) ただし、事業者自身のウェブサイトであっても、ウェブサイトを構成する特定のページにおいて当該事業者の表示ではないと一般消費者に誤認されるおそれがあるような場合(例えば、媒体上で、専門家や一般消費者等の第三者の客観的な意見として表示をしているように見えるものの、実際には、事業者が当該第三者に依頼・指示をして特定の内容の表示をさせた場合や、そもそも事業者が作成し、第三者に何らの依頼すらしていない場合)には、第三者の表示は、当該事業者の表示であることを明瞭に表示しなければならない。
(イ) 事業者が第三者に依頼・指示をしてある内容の表示をさせた場合における当該事業者の表示である旨の表示としては、例えば、「弊社から○○先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。」といった表示をすることが考えられる。
カ 事業者自身のSNSのアカウントを通じた表示を行う場合。
キ 社会的な立場・職業等(例えば、観光大使等)から、一般消費者にとって事業者の依頼を受けて当該事業者の表示を行うことが社会通念上明らかな者を通じて、当該事業者が表示を行う場合。
第4 その他
デジタル領域における表示は、技術の進歩等の変化が速く、現時点では想定しきれない新たな手法が将来的には生じることが考えられるため、取引の実態や社会経済情勢の変化に合わせて、事業者等における予見可能性を確保できるよう、運用基準の明確化を図っていくこととする。