警察が未成年者との淫行の罪(県条例)の疑いで青少年(17歳)を逮捕した事例
嫌疑
少年Aは,県東部で18歳未満の少女に対し,未成年であると知りながら,性行為をした.
事実関係
被害関係者から,被害届が出された (2023年7月)
問題点
相手の18歳未満の少女も,同様に逮捕するべきではないのか.
警察署側への取材
警察署側への取材
? (容疑者が)青少年のため、より慎重に判断している」としたうえで、「免責規定について把握していたか
「法令に基づいて逮捕している」
免責規定については,「‟罰則を適用しない”という規定に過ぎず、逮捕の必要性があるので法令に基づいて逮捕した」
県警本部への取材
? なぜ逮捕したのか
「(少年が)青少年のため特に生活環境や補導歴、非行歴などのこれまでの行動について情報を集め、逮捕の必要性を慎重に判断した」
免責規定については認識していた
「犯罪の成立を妨げるものではない」
「刑事罰ではなく、少年院送致や保護観察などの“保護処分”とする方針で進めるため逮捕した」
? 「保護処分」とするためならば、逮捕ではなく任意の取り調べでもいいのではないか
一般論と前置きをしたうえで「逃亡や罪証隠滅のおそれ、つまり警察の出頭要請に応じなかったり、被害者に被害届を取り下げろと迫るといった事情がある場合などには逮捕の必要性が生じる」
「今回も逮捕の必要性があると判断した」
? 未成年同士の性行為について
「良いか悪いかというのは言えない。刑法上の同意年齢“13歳以上”だったとしても、富山県青少年健全育成条例の“何人も青少年とみだらな性行為をしてはならない”には違反する。そのため、個別の事情によって任意で事情を聞いたり、今回のように逮捕につながる可能性もある」
過去判例
千葉県条例の「この条例に違反した者が青少年であるときは、この条例の罰則は、青少年に対しては適用しない。」という条項につき、東京高裁h28.6.22は「このような本条例の文言の解釈として,30条本文が構成要件該当性が欠け,あるいは違法性を阻却するという趣旨ではなく,むしろ,処罰阻却事由ととらえる方がその文理に忠実であるというべきである。」 一方で,千葉県条例の富山県条例では,条例の趣旨の解説がずっと異なっているため,参考にはならないという意見もある
個人的にはこの主張は理にかなっている気がするbiwa.icon