砂川事件
事件名
日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法違反
裁判年月日
昭和34年12月16日
法廷名
最高裁判所大法廷
裁判種別
判決
結果
破棄差戻
起訴内容
昭和32年7月、東京都砂川町の駐留米軍が使用する立川飛行場の拡張工事を始めた際
基地反対派のデモ隊が、正当な事由がないにもかかわらず、飛行場内に4.5メートルにわたって立ち入った
東京地裁 一審判決
政府の行為が、平和主義に違反する疑い
政府の行為とは
日本と直接関係のない武力紛争に巻き込まれる恐れがある旧安全保障条約を締結した政府の行為 日本が自衛の目的で駐留を許容している米軍は、指揮権の有無等に関わらず、"戦力"に該当する
戦力に該当しているにも関わらず、それを保持しているのは、憲法9条2項違反
よって、被告人は無罪
最高裁 飛躍上告判決
主権国としてのわが国の存立の基礎に極めて重大な関係をもつ高度の政治性を有するものというべきであつて、その内容が違憲なりや否やの法的判断は、その条約を締結した内閣およびこれを承認した国会の高度の政治的ないし自由裁量的判断と表裏をなす点がすくなくない。 それ故、右違憲なりや否やの法的判断は、純司法的機能をその使命とする司法裁判所の審査には、原則としてなじまない性質のものであり、従つて、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外のものであつて、それは第一次的には、右条約の締結権を有する内閣およびこれに対して承認権を有する国会の判断に従うべく、終局的には、主権を有する国民の政治的判断に委ねらるべきものであると解するを相当とする。 主張要約
その内容の法的判断は、高度の政治性と自由裁量的判断と表裏をなす
この論理は、後の平和主義に関する裁判例においても、引用されてよく使われる
わが国がその主体となつてあだかも自国の軍隊に対すると同様の指揮権、管理権を有するもの
駐留米軍は、それに該当しないため、戦力に該当しない
戦力に該当しない等の理由から、司法審査権の範囲外にあると判示
かようなアメリカ合衆国軍隊の駐留は、憲法九条、九八条二項および前文の趣旨に適合こそすれ、これらの条章に反して違憲無効があることが一見極めて明白であるとは、到底認められない 一見極めて明白に違憲無効であるとは言えないから
判決: 原判決破棄