新型コロナウイルス期における大学図書館の取組事例:デジタル文献に着目して
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はじめに
新型コロナウイルスの影響で大学はロックアウト状態です。大学図書館も休館しています。しかし、デジタル書籍のアクセス権の拡大やCOVID-19の研究・診療のためのリソースリンク集など特設ページを設けている大学図書館もあります。こうした新型コロナウイルス期における大学図書館の取り組みをデジタル文献に着目してまとめました。 図書館の取組事例
文部科学省では、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等の学校図書館の取組事例について連絡しています()(2020/4/23)。そして、「時間を区切っての図書の貸出し」「分散登校日を活用した図書の貸出し」「郵送等による配達貸出し」「学校司書によるおすすめ絵本のホームページでの紹介」などを示しています。こうした取組は、大学図書館でもしているところがあります。また、一般の図書館の取組事例については、日本図書館協会が「新型コロナウィルス感染症への図書館の対応事例」()(2020/4/30更新)をまとめています。 新型コロナウイルス関連では、日本医学図書館協会が「新型コロナウイルス情報支援リンク集 」のページを設けています()。ここには「COVID-19関連論文、および在宅学習支援ツール一覧」 (2020/5/1記載)()のリンクがあり、膨大な関連論文や在宅学習支援ツールの一覧にアクセスできます。しかし、大学図書館のリンクは限定的です。大学図書館で、このような新型コロナウイルス関連情報に特化した特設ポータルは他にもあります(例えば、京都府立医科大学附属図書館:)。 なお、ニュージーランド国立図書館(NLNZ)等の海外での図書館の取組は、国立国会図書館の図書館界、図書館情報学に関する最新の情報サイト「カレントアウェアネス・ポータル」が紹介しています()。 大学図書館の取組事例:デジタル文献に着目して
「Maruzen eBook Libraryのみ試読サービス期間を8月31日までさらに延長します。(2020/4/24追記)」
京都大学図書館機構では2019年11月1日(金)- 2019年12月31日(火)の期間限定でMaruzen eBook Libraryの試読サービスをしています。他のeBookの試読サービスも利用していましたが、Maruzen eBook Libraryの試読サービスの期間を延長しました。
「新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大防止対応のため、期間限定で特別に利用できる電子書籍等について、まとめてお知らせします。」
名古屋大学附属図書館では、Maruzen eBook Libraryの試読サービスだけでなくさまざまなデジタル文献にリモート・アクセスする取組をしています。「コロナウイルス感染症関連文献に限った無償公開は、以下リストには含まれていません。」とあり、コロナウイルス感染症関連文献は別途に公開しています。
大阪大学付属図書館は、「新型コロナウイルスへの対応:無償でアクセスできるデータベース・電子ジャーナル・電子ブック」のポータルページを開設しています。また、COVID-19関連のリンクもあります。そして、「キャンパス外からデータベース・電子ジャーナル・電子ブックを使う方法」がまとめられているので利用しやすいです。
千葉大学付属図書館は、「お知らせ 自宅からでも利用できる電子コンテンツを紹介します」というポータルページを設けています。「附属図書館のオンラインサービス:My Library」、「自宅からアクセスできる電子ジャーナル/電子ブック」、「オープンアクセス論文を探す」、「新型コロナウイルス(COVID-19)に関する無料の研究情報」にワンストップでアクセスできます。Maruzen eBook Libraryの試読サービスはないようですが、各種のデジタル文献について、それぞれ解説が付けられてわかりやすくなっています。千葉大学の新型コロナウイルス関連の研究情報は医学専門の情報にリンクしています。
結果と考察
大学図書館では、この新型コロナウイルス期にデジタル文献の利用を拡大している取組事例がありました。なかでも大阪大学や千葉大学附属図書館の特設ポータルページの取組がもっともわかりやすいと思いました。研究情報に関しては、北海道大学や九州大学等でも特設ポータルサイトがありました。このようなポータルがあれば、各種のデジタル文献だけでなく「コロナウイルス感染症関連文献」へのアクセスがわかりやすく容易になります。
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