Tableauでのアンケートデータの扱い方のコツ(2) いくつかのアンケート関連TIPS
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1. Webアンケート設計のコツ 設問・回答選択肢をナンバリングしておく
Webアンケート設計時に、設問と回答選択肢にナンバリングしておくと、アンケートデータを即時に集計できるのと、並び替えが楽になります。 例:満足度の場合
1. とても不満 2. 不満 3. どちらでもない 4. 満足 5. とても満足
https://gyazo.com/8175190a7e956a3009b67d91351b0778
回答選択肢を数値データでしか持てない場合 (Excelでの作業手順)
アンケート実施がマークシートの場合や、システムの都合上、どうしても「5. とても満足」という持ち方ができず、回答選択肢が「5」といった数値データでしか扱えない場合があります。その場合は、
手順1 : 設問と回答選択肢の変換用テーブルを用意しておく (結合できるようにC列の工夫を)
https://gyazo.com/4568f13c3259959d87590f131a331531
手順2 : アンケートデータを「縦持ち」に並び替える。 設問→回答を「行」で持つように。 手順3: 縦持ちにしたアンケートデータに、結合用の列を用意し、「手順1」で用意した、変換用テーブルからVLOOKUPで、「置き換え用の回答」を引っ張ってくる。
(Tableau上でも、設問・回答を「結合」することはできますが、少しテクニカルなので、またの機会に。) https://gyazo.com/35072be495361d50b06db7ed0762e236
アンケート設問、回答数が多岐に渡る場合、この「変換用テーブル」を準備するのに、かなり労力がかかります。。
2. 回答選択肢を数値化して、平均スコアの折れ線グラフを作成する
「1. とても不満」、「2. 不満」、「3. どちらでもない」、「4. 満足」、「5. とても満足」といった回答選択肢ですが、「.(ピリオド)」から後ろを取り除いて、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」という数字スコアにして、平均スコアを算出することができます。
Tableauでは、「カスタム分割」という機能を使い、回答の「.(ピリオド)」から後ろを分割できます。 https://gyazo.com/822cdd4b58426da3e76c1a9934cd1cf7
↓カスタム分割された回答データ 回答選択肢のナンバリングをスコアとして扱える
https://gyazo.com/1cb9da9b3bac6e13793d55e8461ea9aa
平均スコアの折れ線グラフについては、以下のTableau Publicに、サンプルを載せています。 アンケートデータ(縦持ち)
https://gyazo.com/954b0d17efbcaa495915aef38b6355ef
Tableau折れ線グラフ作成のヒント:
表示形式から、いったん「棒グラフ」を作成してから、マークタブで形状を「折れ線」に変えると、うまくいくと思います。(最初に、折れ線グラフがうまく作成できない方が、一定数いると思います) https://gyazo.com/5441539b4350bffa2d38a60009acd0cf
折れ線グラフの場合、色で比較できるようにすると分かりやすいです。(この例だと「学年」)
カスタム分割した回答スコアですが、初期状態だと「ディメンション」に配置されるので、データ形式を「数値」に変換してから、メジャー(集計対象)に配置変更するのを忘れないように。
https://gyazo.com/143fc92f1609d5e41cc77eff7bd7ea80
なお、Excelでもデータタブにある「区切り位置」という機能を使うと、「.(ピリオド)」から後ろを分割することができます。ただし、Excelの場合、元の列を残さずに分割してしまうため、事前に列を複製してから操作をしたほうがいいでしょう。 https://gyazo.com/a6791fe79e221899ee15142472f61b06
3. MA (Multiple Answer/複数回答)をどう扱うか
MA (Multiple Answer/複数回答)でアンケート設計をすると、ダウンロードしたデータに加工が必要になり、手間がかかります。 https://gyazo.com/5e4c76b85cbddc45eb47f6da06d1280c
上記の例(Microsoft Forms)の場合、一列の中に、複数の回答がセミコロン(;)区切りになります。集計をするには、Excelの場合「区切り位置」を使っての分割が必要で、その後の加工も手間がかかります。
回避策:設問をリッカート尺度で選択式にする (聞いている内容は、上のMAと同一)
https://gyazo.com/bdc455706dae17667d91df87bb9b4ca2
この形式であれば、集計しやすいです。
https://gyazo.com/8d42dfb064ce15745cc731ce42f785af
どうしてもMA (Multiple Answer/複数回答)にしなくてはいけない場合:「縦持ち」に並び替える
回答選択肢が多かったり、設問の性質上リッカートにできない場合などは、MA (Multiple Answer/複数回答)にする必要があります。では、集計する工程をどうするか。
手順1 : Excelの「区切り位置」機能で、回答列を分割します。
https://gyazo.com/b6f1196c7905454a00e4f4c92cf99611
分割後は、各列に回答が分かれます。
この状態だと、「設問」→「回答」を「列」でもっている「横持ち」状態です。
https://gyazo.com/9d3ef156591e7b1d67286574384db021
手順2 :「縦持ち」への並び替え用に、設問項目(行見出し)を、同じ名前にします。
https://gyazo.com/beaab0cb49b74bade32cee7890b81b5a
手順3 : 「縦持ち」に並び替えます。 (回答者→設問→回答が「行」になっている状態)
ここまで整形できれば、あとは、TableauやExcel等で集計・分析ができます。
(今回は、「Tableau Excel Reshapeアドイン」を使って、「縦持ち」に並び替えた。)
https://gyazo.com/a1ad379390aec92df651f45494b61f27
※この工程、Tableau Desktopで同じことをやろうとすると、「カスタム分割」までは出来ますが、行見出し(設問)を同じ名前にすることができないため、ピボット後に設問のグルーピング化が必要となります。その作業は、ミスが生じる可能性があるため、記載はやめました。(Tableau Prep Builderでも同様)
繰り返しになりますが、MA (Multiple Answer/複数回答)は、データの整形・加工が必要となるため、必要最小限の使用に留めたほうが、いいと思います。
4. 複数年のアンケートデータを結合するには(Tableau ユニオン結合)
複数年、同一設問で行っているアンケートデータを結合する場合、Tableauでは「ユニオン結合」をすると便利です。 Excelで手作業で切り貼りをしていると、どうしてもミスが生じるリスクがあります。
「元データは極力さわらず、データの結合や並び替えはTableau上で行う」という習慣がつくと、データの集計・分析作業は、かなり効率化・合理化されます。
複数のファイルのデータの結合、整形・加工には、Tableau Prep Builderがかなり便利です。(やや中級者向け)
↓の画面は、3年分の複数の調査データを、ユニオン結合している。
https://gyazo.com/7e8902d29c5fe9fc512c02778c17d7b5
5. 大量データを高速処理するには (Tableau Hyper出力)
多くの設問、そして複数年に渡るデータを、「縦持ち」に並び替えると、数十万行~百万行といったデータ量になることがあります。Excelへのライブ接続だと、操作にやや限界があるため、大量のデータを扱う場合には、Hyper出力を行います。
新型データエンジン Hyper
Hyperにするには、Tableauの「データ抽出機能」を選ぶと、元のExcelデータとは別に、「.hyper」という拡張子の抽出ファイルが作成され、高速なデータ処理を行えます。
ただし! 元データ(Excel等)に修正や更新があった場合、このHyperファイルの更新を見落としがちです。更新もれを防ぐには、データの件数チェックをする習慣をつけましょう。
なお、Tableau PublicにViz(Tableauで作成したグラフやダッシュボード)をパブリッシュするには、このHyper出力は、必須となります。
https://gyazo.com/ad67fb58afcba5b9f207b98cbb4958f8
6. 日本語と英語でアンケートを取るには(多言語対応)
日本語と英語でアンケート取る場合、日英併記という手はありますが、設問・回答選択肢ともに、文字数が多くなり、画面に収まらないなどの課題が生じます。
多言語設定をしておけば、回答データは一つにまとまってますので、集計が楽です。
(いっぽう、別々にアンケートフォームを作成すると、設問や回答選択肢の置き換えに、膨大な時間がかかってしまいます)
https://gyazo.com/97254940510edfd71eac9b7f86129f24
対称テーブルの準備が必要
アンケートフォームで多言語設定(日英切替)を実現するには、対称テーブルを準備しておく必要があります。
https://gyazo.com/725c86bcf21c8fc162a3ae29fafae813
https://gyazo.com/3aeef273f6bad395857baf10ae56dd73
日本語と英語のレポートを作成するには
日英の対象テーブルをしっかり作っておくと、Tableau上で結合できます。
設問と回答の結合がしっかり行えれば、ディメンションの入れ替えるだけで、英語表記のレポートを作成することが出来ますので、労力はかなり減ると思います。
(3のパートに書いた、「元データは極力さわらず、データの結合や並び替えはTableau上で行う」という習慣)
https://gyazo.com/83b2b9a981a132e8150230ae64bdc3ab
・・・と書きつつ、この日英対称テーブルを、しっかり準備しておくのが、実に大変なんですが。。
以上、いくつかTIPSを書いてみました。
最初はかなり分かりにくいと思われますがが、(特に、横持ち、縦持ちの話)、コツを掴むと、アンケートデータの集計・可視化が、かなりスピードアップしますので、いろいろ試してみてください。
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