【Quick17】音ゲー専用ミニキーボードを作った【自作キーボード】
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「Quick17」というマクロパッドを、PC音ゲーのコントローラーとして組み立ててみました。
TL;DR
「すでに満足な音ゲー環境を持っている人がお遊びで使う分にはアリ」
〇コンパクトな筐体がスタイリッシュで良い
〇「Kailh Super Speed Switch / Copper」の打鍵感が最高
〇「DOYS キーキャップ」の形状が思ったよりいい感じ
△キーキャップのカラー選定は失敗した
✕同時押しの反応キー数が少ない
制作に至った経緯
最近「自作キーボード」なる界隈を知り、せっかくなので分割キーボードに挑戦してみようと思い、「Ergo68」の購入を決めました。
遊舎工房の実店舗で購入するパーツを吟味している際にマクロパッドのコーナーに目が行き、モノによっては音ゲーに使えるのでは?と思い立ってしまい
キー数が多めでいろいろな音ゲーに対応できそう、かつ3行あってギリギリ手が置けそうだったQuick17を購入しました。
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18キーを実装するか、17キー+右下にロータリーエンコーダ(つまみ)を1つ実装することもできます。
位置固定の1つだけだと使い道が無さそうなので今回は見送りました。
パーツ選定
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キースイッチ:Kailh Super Speed Switch / Copper / Tactile
音ゲー専用にするので、反応速度の速いSpeed Switchを選択。ラピトリには敵わないものの、1.1±0.3 mmと十分浅いポイントで反応します。
作動フォース38gfということで、キーの重さも許容範囲だと思います。
購入の数日前にG913TKL茶軸を使わせていただく機会があり、タクタイルと音ゲーの相性の良さを感じていたため、タクタイルスイッチを購入してみました。
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キーキャップ:Doys A Kit Blue (transparent)
普通の高さがあるキーキャップだと普通のキーボードと違いが出せないので、個性を出す狙いで平たいキーキャップを選択。
Quick17は全キーLED内蔵なので、綺麗に光りそうな半透明タイプから選びました。
その他、組み立てに必要な電子部品系はすべて同梱されていました。助かる!
組み立て
ビルドガイドを読みながら手順通りに組み立てていきますが、数点困った部分もありました。
LEDのはんだ付けがむずい
全キー分のLEDをはんだ付けする必要があります。
基盤にピッタリサイズの穴が開いていて設置自体は簡単なのですが、はんだが乗らない、よくズレる、動確したら光らない。
しっかり予備はんだをして動かないように固定したほうが良さそうでした。
後ほど動作確認をしたときに半分くらいのLEDが点灯せずかなり焦りましたが、光らないLEDのうち基盤の番号が一番小さいものを丁寧にはんだ付けしなおすことで無事全キー点灯させることができました。
ProMicro付けっぱなしだとスイッチのはんだ付けができない
ProMicroの真下にキースイッチのはんだ付け部分があるのですけど、
ビルドガイド通りに進めていくとProMicroを取り付けた後にスイッチ装着が来るので少しびっくりしました。
コンスルーのおかげでProMicroは簡単に取り外せるので、一旦外してキーを付けて戻せばいいだけでしたね。
組み立て中頻繁にテストとはんだ付けを繰り返していたので、何度もProMicroを付け外しすることになりました。
早い段階でファームウェアを書き込まないと動作確認ができない
ProMicroを装着した時点でLEDの点灯チェックを行いたくPCに接続したのですが、どうも繋いだだけでは点灯しないようでした。ファームウェアを書き込むことで初めて点灯するようです。
ビルドガイドではすべてのはんだ付けが終わった後にファームウェアを書き込んでいますが、早めに書き込んでしまうといいかなと思います。
ファームウェアの書き込みにはREMAPが使えたので、ガイド記載の手順よりもだいぶ簡単でした。
完成
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あんまり映えない!!
青色のキーキャップにしたせいで、どの色に光らせても青っぽくなってしまいます。同系色の色の違いも分かりづらい。
またキースイッチの透明な部分が下側だけなので、せっかく半透明にしたキーキャップも下側しか光りません。
もう少しレインボー感が出ると思ったのですが...誤算でした。
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ただ右下に刻まれたQuickの文字、裏面の遊舎工房ロゴ、黒プレートを重ねたデザインは非常にスタイリッシュで気に入りました。
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サイズ感もいいコンパクトさ。
分割キーボードの間に置くのを想定していたのですが、本体と分割キーボードのケーブルで配線が終わってますね~~。L字のMicroBを探してこようと思います。
実用
見た目は想像と少し違うものになってしまいましたが、今回の本題は音ゲー性能です。
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REMAPからキーマップを書き込みました。
およそマクロパッドとは思えないキーマップですが、これで大体のPC音ゲーに対応できるはずです。
最初に一番の問題点を挙げますと、このキーボードはNキーロールオーバーではありません。
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全押しがきれいに抜けてますね。
複数のキーを同時押しした時に正常に反応するのは6個までで、それ以上は反応しないようです。
音ゲーマーにとって致命的な問題点で、これだけで「他人にはおススメできない」という結論が出ます。
十中八九想定外の使い方なので、まあ仕方ない。
というわけで、以降の記述はこの問題点を見なかった場合のものになります。
実際に使用してみての感想は、「思ったよりイケるじゃん!」です。
メインキーボードで全力でやりこんで出したハイスコアを初日で軽々と更新してしまいました。
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まずQuick17というキットの形状は、かなり扱いやすいものでした。
構えた際に両手の位置がとても近いのでかなり不安でしたが、これはこれで打鍵に力を込められていい感じです。キーが近い分出張運指が取りやすいので、急に寄った配置が来た時に強そう。
初日はよく親指同士を擦りましたが、慣れでどうにかなると思います。手が大きい人には厳しいかもしれません。
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BMSです。
右下7キーを鍵盤に割り当てて、ACと同じ運指で押しています。さすがに誤爆が多い。
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K-Shoot(鍵盤とつまみのゲーム)です。
中央4キーをBTとつまみに割り当てています。出張運指は快適ですが、流石に誤爆が多い。
何をやっても誤爆が多いので、横並び鍵盤ゲーム以外を真面目に遊ぶのは少々厳しそう、という結論になりました。キーキャップの形状次第ではある程度改善できるかもしれません。
また、小指でキーを押す必要があるゲームは特に厳しかったです。
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DJMAX RESPECT V用に、メニューや選曲画面の操作ができるレイヤーを作成しました。
左下のキーを長押ししている間だけこちらのキーマップに入れ替わります。
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ゲーム起動後のほとんどの操作がここで行えるようになりました。(楽曲ソート用のF4が入らなかった)
キースイッチは超いい感じです。
かなり浅い位置でタクタイルの「押した感」があるので音ゲー中の打鍵感が良いです。
不快な音はせず、音量もゲーミングキーボードとしては平均的な程度に感じました。
ルブ等はしていないので、ここから更に進化させられるかもしれないと思うとワクワクします。(ホットスワップ非対応なのでめんどくさそうですが...)
価格
Quick17キット:5500円
キースイッチ:1188円 (66円 * 18個)
キーキャップ:1980円
合計:8668円
専コンよりは安いけど、安くはないですね。
結論
「すでに満足な音ゲー環境を持っている人がお遊びで使う分にはアリ」です。
Nキーロールオーバーで無いというデメリットが大きすぎるため、本気で音ゲー用のコントローラーを探している人には全くおススメできません。
今PC音ゲー界隈はRapid Trigger機能で大革命が起きているので、ちょっとお金を足してそちらを買うか
少なくともまともな大きさのキーボードを買った方が良いと思います。
さらに、コンパクトな音ゲー用キーボードが欲しいだけならGAMO K28という特化商品が既にあります。
既にガチでスコア詰めができる環境を持っていて、
そのうえで「自作キーボードにも興味がある」「キースイッチ等のカスタムを軽くやってみたい」「トンチキな面白デバイスが欲しい」等の理由があれば、面白く使えると思います。
自分は不器用感がたいそう気に入ったので、今後も使っていきたいなと思いました。