オススメ数学書と数学科の雰囲気の個人的感想
2024-01-13 加筆.接空間のお気持ち.
2024-01-15 加筆.楕円関数追記.
リスペクト:るじゃんどるによる 数学を学ぶのに良かった本たち
こちらもおすすめですので御覧ください.
今は情報がネットにたくさんある時代になった.ググるが最速な気がする.昔は本当に書籍からしか得られなかった.今と昔では全然状況が違うことに留意.
読んでよかった数学書を書いていくぞ.入り口は高校の数学の問題なら解けるレベルの人.
本の記載の仕方は"書いた人「本の題名」"としています.お名前は名字のみ,敬称略,本当に雑で申し訳ない.その分書籍へのリンクはなるべくその出版社のページにつけるようにした.詳しくはそちらをあたって欲しい.
見やすさのために代数,幾何,解析,数理科学(応用)に分ける(+αあり).実際はそんな簡単に境界が引けるわけない.ただの見やすさのためだと思ってくれ.明確な定義があるわけでもない.
代数学
線形代数は何か1冊読破するのが良いと思う.だいたい1冊目のゴールはジョルダン標準形が書いてあるところくらいまでかなと思う.双対空間の話もあるとよいだろう.私は川久保「線形代数学」を読んだ.夏休み全部使ったかな.特別良いかというとそうでもないような気がするので1冊目は自分で選べばいいよ.
演習にも時間をかけること.数学科だと90分かける2の3時間連続で線形代数演習みたいな講義があった.それで15コマだから45時間.毎週10問前後のA4用紙両面に書かれた問題を解いて解けた人から黒板で解法なり証明を発表する.どこも間違っていなかったら単位の成績に関わるポイントが貰える.そんな感じ.どこも同じようなものだろう.以上数学科の演習紹介.
どこまでも線形代数はつきまとうので数学科の図書館で線形代数関連の本はひととおり目を通しておくと良いと思う.自分は和書ばかり読んでたが洋書も見ておこう.英語は心配しなくても良い.中学生の初歩程度の英語力があれば読める.数学書の性質上難しい表現は出てきようがない.問題はオススメされても書店で内容が確認できないことかな.数学科の図書館に通おう.
佐武「線型代数学」は超オススメ.読める人は読んだほうが良い.最初の本としてはかなり難しいので見て無理そうだったら他の本を読もう.この本にはお世話になると思うよ.
線形代数の続編としては池田「テンソル代数と表現論」や佐藤「リー代数入門」とかがオススメ.線形代数の習熟とか定着に時間かかるので進まないのも全然あり.私も最初見て意味わからんかった.それより群とか環とかやりたかった人間.結局いろんな分野見て必要に迫られてリー代数とか勉強しはじめるのが多いかと思う.はじめから「リー代数おもしれー.さいこー.好き.」って人は才能とセンスあるのでそのまま読んでくれ.ある意味で線形空間の一般化である環上の加群も線形空間に慣れきたら勉強すると良い.ここでテンソルとか難しそうなこと言ってくるが具体例として線形空間を持って来ればイメージが湧くはず.
個人的に大学でやりたかったことの一つにガロア理論があったのでそっちの話題.初歩の初歩は雪江「群論入門」で良いかなと思う.最初のところだけでも読むといいだろう.この本は具体例が多く基本的なところから易しく書かれていることが特徴.読んでみてなんかだるいってなったら他を読もう.
ガロアかっこいいしガロア理論に憧れる数学少年,少女(別に大人になってて問題はない)は多いだろう.草場「ガロワと方程式」は自分が最初のセミナーで読んだのがこの本だからってのもある.(ここでガロアとガロワ表記に関しては議論しない.)この本でガロアの基本的な定理を理解した.でも道具として使うにはなかなか高級なものだったりする.自分は普段使わないところにいる.詳しくはないが代数的整数論とかガロア理論の連続的な類似物,微分方程式への応用としてソフス・リーの仕事の話とかになる.
ここで数学科の人が言うセミナーとかゼミの説明をする.複数の人で1冊の本を読むというのを目的にして開催される輪読会みたいなもの.集まる時に誰かが発表者として読んできた内容をみんなに説明する.週1の場合が多い.自主的に行うものを自主ゼミと言ったりする.単位にもならない自主ゼミの形が多かもしれない.最近は先生を付ければ単位がついたりする制度があるのでその点改善している.数学科に入りたてだったりセミナーの経験が無かったら外野として適当な先生とか先輩を捕まえるとかしよう.証明を聞いてくれる.
受け身になる授業よりセミナーで発表する方は圧倒的に勉強になったりする.なので講義で先生が「授業に来る余裕があるなら家で数学書読んでたほうが良いよ」とか言ってたりする(半分実話).数学科と大学の制度の相性が悪い.めちゃくちゃ出来るやつは最後の期末試験だけ来て高得点で最高成績だったりする.でもその人が数学者(とは?)になるかというとそうでもないので難しい.社会性とかの問題(ほんとうか?)で授業に来て友達と喋るってのが大事だったりする.何気ない会話とか今他人が読んでいる本の内容聞くとかすごい大事なことだと思う.授業は半分ぐらいは先生の証明発表会とか思ってもよし.自分の勉強してない分野だったら実況付きで証明される定理にワクワクしながら聞くことが出来る.
和書でこの本が存在してくれてありがとうございます.藤崎「体とガロア理論」.とってもオススメ.セミナー準備とかでよくこの本の証明などを参考にした.
ざっと眺めるなら桂「代数学1 群と環」のシリーズも良い.読んでいてファイト・トンプソンの定理という驚愕の定理が載っている.興味があればこれをとっかかりに深いところまで潜ろう.基本的に大学の教科書みたいな本.
標準的な可換環の本はアティヤ,マクドナルド「可換代数入門」がある.多くの内容がコンパクトにまとまっているのがすごい.内容の半分以上が演習問題.演習問題解かなくても良いという本ではなくて演習問題に必須事項もあるので解かないといけない.3,4年生ぐらいで読めたら良いかなと思う.私は2年生の時に読んで失敗した.数学の経験も浅い人間がやっても理解できない(私の行った大学は1年生の段階では理系というくくりで1年終了時の成績で理学部数学科とかに振り分けられる.).論理は追えるけれど意味がわからない.数年後にこれを考えるのは自然だなと思うレベルのことが書いてある.書いてあることが難しく感じたら他の分野をやった方がいい.多くの人が読んでいるのでネット上にオレオレ解答が多くあってれば良いんだが間違いが多い.セミナー形式で読むのがオススメ.昔はアティマクからハーツホーンの流れがあった.今は出来るだけ広範囲の数学を学んだほうが良いと思う.ちなみに英語の元の本はこれよりずっと薄くてなぜかこの本より高価だ.印刷も雑なので日本語訳のこの本の方がいいってなる.謎.
ここに入れて良いのかわからないけれどP. エティンゴフ「表現論入門: 群・代数・箙と圏の表現」.面白いこといっぱい書いてあります.読んで損はない.歴史も書いてある.気になる話題があればその分野のおすすめの本を教えてくれる.
ホモロジー代数は河田「ホモロジー代数」の本とかで勉強すれば良い.層と層係数コホモロジーの計算まで載っている.今だと志甫「層とホモロジー代数」もかなり良いと思う.1章は加群,2章は圏論,3章はホモロジー代数でここまでは独立に読めるのでおすすめ.4章から層の理論でやっと代数と幾何と解析が結びつくさまを見れる.
大学数学スポットライト・シリーズの良い
佐藤「シローの定理」,佐藤「群の表示」,佐藤「群のコホモロジー」.他の代数の本もオススメ.
幾何学
集合の基本的な操作とかをここに書くのは本当におかしいと思う.(集合は集合で集合論というのがありまして,おるうぇって人に聞いてください.)
数学をやり始めて証明の仕方がわからんってのはよくある.そこを学ぶ.集合の意味でX=Yを示すには集合Xの元xをてきとーにどう取っても集合Yの元であるし,かつ集合Yから取ってきたテキトーな元yはどう取ってもXの元なるっていうのを示せば良いっていうのに気がつくだけでも実はかなり進歩.要は定義通りなんだけれど最初はそこがわからない.わかってしまえば(基本的なことは)慣れで出来てしまう.線形空間V, Wが同型である証明とかも同じこと.位相空間も同じ.
それを数式を使ってセミナーとかで人前で証明ができるようにしよう.
書籍は内田「集合と位相」で良いんじゃないかな.自分はたまたま教科書指定がこれだったのでこれをよく読み返すってだけ.最近新装版になって数式がとても見やすくなりました(買いました.2冊ある.).一昔前は松坂「集合・位相入門」一択みたいなところがあった.今はたくさんあるので好きなの選べばいいと思うよ.位相は数学の言語みたいなところがありよく読み返します.
個人的な学部時代の幾何学の感想.位相空間の講義は楽しかった.歴史もなんかの本で読んでいたのでウリゾーンの距離化定理は授業で証明されたときは感動しちゃった.モチベがあったし期末試験は惜しくも満点でなかったぐらいで,上に書いた講義につく演習も他の人が解けない問題も解けてたので自信になってた.
微分幾何学は実は面白くなかった.永遠と微分させられ興味を失ってしまった.超重要な多様体の概念に到達する直前の重要なところも計算めんどくせーになってた.当時メンタル死んでたのもあるかもしれん.ガウスの驚異の定理(Theorema Egregium)ってあるけれど自分は何も思わなかった.感性が死んでた.失恋も重なってもうしょうがないよね.毎日食欲なくて胃薬飲んでたからね.
驚異の定理からリーマンが「幾何学の基礎をなす仮説について」を発表してアインシュタイン相対論までの流れを学部時代に味わえなかった.
小林「曲線と曲面の微分幾何」,小林「接続の微分幾何とゲージ理論」は良いと思います.
松本「計量微分幾何学」に歴史が書いてあるのでそこが良い.
野水「現代微分幾何入門」は外出時によく持ち歩いて少しずつ読んでます.
多様体なら松島「多様体入門」があるのだけれど読めたらラッキーだと思ってください.かなり難しいです.入門とつく本でこれだけ難しいものも少ない.多様体に慣れてきたら辞書的につまみ食いすると思います.今の自分がそんな状態.そもそも多様体自体が難しい概念だと思う.必須なんだけれども難しいよ.
John M. Lee「Introduction to Smooth Manifolds」
とにかく記述が易しい.具体例が豊富.ただし700ページ超え.持ち歩くにはでかい.日本語の難しい本で何日も悩むよりこういう本を読んだほうが早い説ある.
接空間を理解するまでは本当に難しい.座標変換がそもそも難しい.1年の時にやった線形代数の基底の取替による表現行列ってやつもなんで考えるのかわからなかった.双対空間もわかるけどとても抽象的なことをやっているように思えた.
高校物理を思い出してほしい.単振動の問題で座標系を勝手にこちらが決めるよね.だいたいの人がするように自然長が0の位置に来るように勝手に決めているしそれで良い.振り子の問題でも勝手に自分が座標をそこに見出しちゃってるよね.物理現象は自分が考えている座標系とは全く関係なく起きるし進む.そして振り子の問題は普通のx-y-z系のデカルト座標じゃなかったよね.角度$ \thetaを座標の1成分として見てたよね.位置じゃないぞ.角度が座標になってるなんて最初は気が付かないかもしれない.しても良いんだ.高級な言葉使うと解析力学の一般化座標だ.
あとはベクトルについて.高校数学と大学で出てきたベクトルって違うって気付くのが難しい.誰も教えてくれなかった.高校数学はベクトルが等しいことをベクトルを原点に平行移動させてそれが同一であれば両者は等しいと決めていたね.空間上に座標が散らばって見えるけれどこれは嘘で全部原点(どこでもいいのだが)に持ってきて同じか決めている.その等しさの同値関係で割った商空間を考えているのが高校数学.
地球で考えてみてほしい.天気予報でやってる各地の風向,風速の予測.北海道の北風と沖縄の北風を比べようか.地球は3次元空間上の球面としよう.高校数学式だと北海道と沖縄の風向き違うよね.ベクトルの方向.北を向いてるけど向いている俯角,仰角が違うよね.そういうことを考えると天気予報の風向って地点が違えば比べられないこともわかる.北極点の北風ってなんだろう.北とは?(だけど十分近いと比べてもまあそこまで違わないだろう.北海道と沖縄も別に俯角,仰角をいい感じに無視してあげれば比較可能だ.)だから高校数学でやるベクトルを一箇所にまとめて比べるってことはここでは出来ない.どういう空間を想定するかというと考えている空間にくっついているベクトルのなす空間だ.各点にベクトル空間があると思えば良い.どちらかというと天気予報のほうが馴染みがあるのでこちらの考え方のほうがしっくりくるかもしれない.高校数学が少し変に見える.
ベクトル解析でやるベクトルは各点にベクトル空間がある場合で空間が上で言った地球のように曲がっていない平べったい空間を主にやるものだということがわかってくる.
高校数学とベクトル,ベクトル解析のベクトル,微分幾何(滑らかな多様体)でベクトル,3つあって2つ目は3つ目の特殊な場合をやっている.それと線型空間の双対空間などをしっかり自分で説明できるようになれば最初の難関は突破できるはず.
森田「微分形式の幾何学」は読んでいて楽しいと思う.
茂手木「デーン手術」
ようこそ3次元トポロジーの世界へ.積読.
Theodore Frankel「The Geometry of Physics: An Introduction」
読んでる途中.
北原「調和積分論」
特異コホモロジー,de Rhamの定理,熱核の構成までコンパクトにまとまっている.
まとまっているので読んでいて楽しいが難しい.まえがきに,教養課程の知識のみ仮定して調和積分論を書いたがこれは素手で monstar に立ち向かうようで不可能な作業に挑戦したと後悔している.みたいな事が書いてありそれはそうってなった.この本200ページもないよ.怖いね.
柏原「代数解析概論」
絶賛読み中.現在自分の中で流行中.D-加群の話.読めないので他の本に行ったり来たりしている.わからないのに好きになってしまった分野.
寺杣「リーマン面の理論」
この本は楕円関数から始まって身近(?)な数学から始まるので優しく面白いよ.上読むために読んでる.層.
河野「曲率とトポロジー」
読み物的.
今野「微分幾何学」
微分幾何学周辺全般.
オーバマーズ. M.「コンピュータ・ジオメトリ―計算幾何学:アルゴリズムと応用」
数値計算で使ったりする.
解析学
これも今は昔の話.解析学は高木貞治の「解析概論」を読めっていう雰囲気があった.私も1年時の冬休みに自主ゼミでルベーグ積分のところ以外は読みました.今の時代なら最初の難関って言われているイプシロン・デルタ論法とかはわかりやすいYoutubeの解説動画探せばあるやろって思う.数学は勉強すること多いのであまり時間はかけられない.一旦飲み込んで次にいこう.実数まわりでもやもやしたら笠原「新装版 対話・微分積分学 数学解析への誘い」をまず読もう.だいたい解決してくれる.いい本だと思う.
私なら黒田「微分積分」かな.ここまでならサクサク読めると思うよ.2冊目だとヨスト「ポストモダン解析学」とか.
関数解析はブレジス「関数解析―その理論と応用に向けて」.これは洋書で良いと思う.いきなりハーン・バナッハの拡張定理でどうゆうことだ?ってなるかもしれないけれど読み進めよう(研究室の時にボスに読んどけって言われてセミナー開いて読んだ).黒田「関数解析」もスタンダードで良いと思う.お気持ちとかは藤田「理解から応用への 関数解析」がすごくよく書かれている.
物理現象を記述する微分方程式にも慣れておこう.高校生の頃に読んで最高に面白かったと思えた本を1冊(ここだけ高校生から大学1年生向け).
飽本「今日から使える微分方程式 普及版 例題で身につく理系の必須テクニック」.今だとブルーバックスから出ているね.
これで自分で常微分方程式立てて解いてを実際の物理現象を通してやってたので楽しかった.この本の偏微分方程式版もあるので読むといいよ.最初はベクトル解析の言葉でわけわからんとおもうけれど慣れですね.あと数値計算すると感覚が身につきますね.オススメ.
常微分方程式なら笠原「微分方程式の基礎」をまずオススメする.
数学書も挙げておくと金子「偏微分方程式入門 (基礎数学) 」は今でもたまに読んでへーってなる.
Michael Renardy & Robert C. Rogers. 「An Introduction to Partial Differential Equations」.
偏微分方程式でわからないとき読む.
複素解析とルベーグ積分は相川先生のものを挙げておく.相川「ルベーグ積分 要点と演習」,「複素関数入門」.ルベーグ積分は自分は代数やりたいからそんなにしっかりやらなくてもいいかって思ってると痛い目に遭います.まじでしっかりやったほうが良いよ.内容は面白いから飽きることはないし,抽象的で意味わからんってこともあんまりないと思う.
あとは量子力学とか同時並行で勉強すると良い.時間がなくて難しいと思うが物理学科の授業にもぐるのもオススメ.
単位元を持つ可換なC*-環を考えるとコンパクトハウスドルフ空間を考えているのと同じっていう事実を圏論を通して知ってるぐらい.ただの知識.
電子書籍の存在を忘れていた.数学書は基本的に紙で買うのだが一般向けの本などはすぐに読めるので電子書籍で買っている.IT関連とかプログラミング関連書籍も電子書籍が多い.何故か電子書籍で買ってしまった本でオススメ出来る本があったので紹介.武部「楕円積分と楕円関数 おとぎの国の歩き方」だ.前提知識は学部1年生レベル+複素解析の初歩.でも本当に前提知識は少なくて良い.“おとぎの国の歩き方”ですからゆっくり歩きましょう.何故オススメかというと単純に楽しい,面白いから.
高校生の時に多くの人が覚えさせられたであろう正弦,余接,正接の加法定理.要はサイン,コサイン,タンジェント.先生に教えてもらったサインは“咲いたコスモスコスモス咲いた”だったし,コサインに関しては“殺せ殺せ死ね死ね(負のイメージが強いので符号はマイナス(なるほど))”とかいう変な覚え方をしてしまった.ちなみにタンジェントは“イチ引くタンタンタンプラタン”だった.そこから倍角の公式とかすぐに出るのだけれどそこでこう思ったことはないだろうか?
$ f(2x)=2f(x)g(x), $ g(2x)=g(x)^2-f(x)^2なる$ f ,gってサインコサインだけなの?もしくはもっと簡単だったり複雑な“加法定理”みたいな一般化した三角関数みたいなものってないの?って.
$ h(2x)=\frac{2h(x)}{1-h(x)^2}
こっちはタンジェント.加法定理のどこをどうしたらこういう三角関数みたいな性質の良い関数が出てくるのかな?とも思うだろう.こんな疑問にたぶん答えてくれるのがこの本である.もちろん他にもあるんだけれど易しく(そして優しい)書いてあるのがこの本.三角関数の他にも加法定理が存在する関数があるの!?って人にも新鮮で面白いだろう.易しい本でありながら読み終える頃には数学の深みに嵌っていること間違いない.そして下式はその1例に過ぎないわけだが.
https://scrapbox.io/files/65a537979d3e8000231977be.svg
WikipediaのJacobi elliptic functionsのページから画像は取ってきた.もはや何が何だがわからないかもしれないが大丈夫,ここから数学の本当に多くの分野に連れてってくれるから.ただし計算はしんどいかもしれない.
数理科学
応用数学って何?知らん.日本応用数理学会とかでやってる分野.
Hirsch・Smale・Devaney「力学系入門 ―微分方程式からカオスまで」
力学系,分岐理論の基礎.定番.
桑村「パターン形成と分岐理論」
分岐の初歩なのでこれ以上は洋書になるかと思う.中心多様体が書いてある本を日本語だとあまり見かけない.
ストロガッツ「非線形ダイナミクスとカオス」
カオスとかフラクタルとか聞いたことあると思う.興味があれば是非.
E.ハイラー, G.ヴァンナー「常微分方程式の数値解法 I 基礎編」,「常微分方程式の数値解法 II 発展編」
これ以上面白い本ある?
H.K. Versteeg, W. Malalasekera「数値流体力学」
実用的.
ボサビ,アラン「新しい計算電磁気学―基礎と数理」
もっと読まれてもいいのに.
梶島「乱流の数値シミュレーション 改訂版」
良い差分,悪い差分.離散化による違い.乱流モデル.
岡本「数値計算による流体力学」
ホドグラフ法,M^2展開,薄翼理論.上の本より理論寄り.後半が数値計算なのだがRANSのいろんなモデルの検証してくれていて助かる.
数値計算の本でオススメ教えてくださいってよく聞かれるけれど特別これが良いってのは無いです.
と思っていたが1冊あった.
富阪幸治,花輪知幸,牧野淳一郎編「シミュレーション天文学」
常微分方程式,偏微分方程式の数値解法の基礎.流体計算の基礎.多体系シミュレーション.SPH法,磁気流体力学計算,数値相対論.輻射輸送.適合格子細分化法など.なんかひととおり書いてある."微分方程式の数値計算"って意味ではオススメです.この本だけだとわからないかもしれないので他で補ってください.
山田「相対論とリーマン幾何学」
数学と物理の交差点シリーズはどれもオススメです.
その他
その他はどこに入れればわからなかったもの.
マックレーン「圏論の基礎」.
いろんな分野を学部レベルで理解してきたら読むといいよ.最初意味分からなかった.今もわからないって言いながらやってる.
alg-d「全ての概念はKan拡張である」
webの落ちているPDFでお世話になってたけれど書籍になっています.助かる.
レンスター「ベーシック圏論―普遍性からの速習コース」
よんどる.
歴史とか読み物
wip
本当に数学史を読みたかったら専門書を読んでください.これから紹介するのは一般向けです.
玉木「広がりゆくトポロジーの世界」.
とてもオススメ.書いてあるけれどホモトピーの流れがわかります.
高木貞治「近世数学史談」.
高木貞治が書いた時代の本だということには注意.その頃の雰囲気が伝わってくる.こういう系統の本を紹介したいところ.
マックレーン「数学 その形式と機能」
へーってなる.
「数学の現在」シリーズ
https://www.utp.or.jp/book/b307190.html
https://www.utp.or.jp/book/b307189.html
https://www.utp.or.jp/book/b307188.html
数値計算のことを良く書いてくれてありがとう.どれか忘れたけれど.
物理学
ランダウ=リフシッツ「力学」,「場の古典論」,「量子力学」.
感動するよ.いきなりは無理なので物理の入門書を読もう.
しっかり精読しているわけではないので読むたび新しい発見があってなるほどーってなる.
定番といえば定番.
巽「流体力学」
これか今井のものを読めば良い.
久保「大学演習 熱学・統計力学 [修訂版]」
大学出ると現実的な問題にぶち当たるのでこれを参考にしたりする.かなりの良書だと思う.
中原「理論物理学のための幾何学とトポロジー1」
幾何学の物理的イメージがつかみやすい.
物理学の演習書は役に立ちます.
積読,虚無,癒やし,鑑賞
「岩波数学公式」
3冊ある.なんか数式がひたすら並んでいるので落ち着く.寝る前に読むと良い.今の時代虚無感ある.好き.
飯高「代数幾何学」
積読.
安田まさえ「数学女子」
 癒やし.
求む本
ソフス・リーの伝記とかください.
エリ・カルタンの仕事も人物含めて知りたい.
2024年読んだ本
「コンピュータは数学者になれるのか?」.たぶんオススメするよ. 超オススメ.
感想はここ.なんか最近のAIとか絡めたそんな話?って思ったけれど全然違います!ちなみにその話はこの本の1%ぐらいで完結してる.この本は副題にもある通り数学基礎論の本です.「証明とプログラムの理論へ」とあるとおりプログラムやってる人にもオススメできる.あー本当にこういう風に最初は説明してほしかったなあっていう概念がたくさんあった.もちろん厳密でないのはわかるよ.でもよくわからなくなるよりは雰囲気がわかって本格的な本読もう!って思うほうが絶対(諸説あり)良いんだよ.
線形型出てきてあーRustじゃんって思った(こんな雑に説明できるものではない).詳しくは「Haskell は Rust になれるのか?──2023年の Linear Haskell 体験記」あたりを読んでください.
この本を読んでいて論理のオススメ本も入れておこうと思った.最後まで読んでいるのは前原「記号論理入門」.自主ゼミで読んだ記憶がある.すぐ下に書いてある本を読んでいたのでさくさく読めた.ドモルガンの定理が意外にたいへんなのに驚いた.たぶん下の本読んだときもそれ思った.上の本の参考文献にも載っていました.
学部1年生の1学期じゃなくて前期に戸田山「論理学をつくる」.これは後半の方は分からなかったけれど,面白くて1週間で読んだ記憶がある.誰かに貸したのか手元にない.
手元にないので目次を載せる.5章までは確実に問題も全部解いた上で読んでる.後半は面白そうなところだけつまみ食いした.どこかの定理の証明で結構分からなくて時間かかった記憶がある.コンパクト性定理かな?.証明図が独特だった.MPL,PPLはもう記憶にない.もしくは理解してないね.でもとても面白かった記憶があるのでこの本は良いです.