1-4 論理的思考の盲点
from エンジニアリング組織論への招待
論理的思考は言い換えると演繹的思考のこと
演繹的思考とは、ルールと事象から結論を導く考え方
ルール:人は必ず死ぬ
事象:私は人間である
→結論:私は死ぬ
人間が正しく思考するときには以下の条件が必要になる
事実を正しく捉えられるか。
感情抜きで判断することができるか
論理的思考を考えるときに邪魔になるのが感情。正しい論理的思考のアプローチを知っていても、感情が理論を歪めることがある。そのため、論理的思考能力とは、「感情的になる瞬間を知り 、影響を少なくできる能力」ともいう
では、いつ感情が入り込んでいるか
事実を人間が「認知」したときに感情が入り込む 余地がある。そのため、感情は別で思考できるようになる必要がある。
事実:Aさんは独身
認知:Aさんは性格が悪い
事実を事実として受け入れるように、どのような歪んだ認知が入り込むかを以下に記載する
ベーコンの4つのイドラ:イギリスの哲学者、フランシス・ベーコンが唱えた説。人間の認識にはさまざまな錯覚と誤謬(イドラ)が含まれると提唱した
種族のイドラ
人間が本来持っている錯覚や偏見 
Ex: 遠くにあるものが小さく見える
洞窟のイドラ
外の世界をしらずに、自分の閉じた世界だけで決めつけたり判断すること
Ex: 自分はこう思うから相手もこう思うだろう
市場のイドラ
ありえない事象を本当のことだと信じ込んでしまうこと
Ex: 占い師の「明日地球が滅亡する」という宣言を信じてしまうこと
劇場のイドラ
伝統や権威を簡単に受け入れること
Ex: 親が結婚しろと言ったから結婚した
認知の歪み:20世紀アーロン・ベックが唱えた説。ネガティブな感情や不安がどう認知を歪ませるのかを分類したもの。認知の歪みを解消することで、ネガティブな感情や不安を払拭できると考えた。
ゼロイチ思考
シロかクロか二元論で考えてしまうこと。思い込みもゼロイチ思考による認知の歪み
Ex: あの人はいつも整頓できない
一般化のしすぎ
ある事象が起きたときに全てそうだと決めつけてしまうこと。
主語が大きいともいえる
小さい問題を大きい問題として捉えてしまうことは組織ではよくあること
すべき思考
他人にこうであるべきをなすりつけること
自分自身にもすべき思考をしてしまうこともある
Ex: 私は社会人だから就職しないといけない
選択的注目
見たいものしか見なくなること(心のフィルターとも呼ばれる)
Ex:景気の悪いニュースを見ると、実生活の悪い事象にも目が行くようになる
レッテル貼り
ある人の属性に注目して、何かしらの原因と考えること
Ex: エンジニアはPCしか触らないから常に引きこもっている
一般化のしすぎを加速するとレッテル貼りになる
結論の飛躍
先回りのしすぎ、心の読みすぎ
相手の感情を先回りすることはコミュニケーションにおいては、有利になることがあるが、短絡的に結論を結びつけるのはよくない
感情の理由づけ
感情だけを根拠にして、自身が正しいと思う判断をすること
難しいところは本当は感情の裏付けで判断しているが、あたかも正当に判断していると伝えることがある
上記の認知の歪みの原因を客観的に見ることで、感情的な思考を削減することができる
認知的不協和
自分の感情や行動が矛盾していたとしても、認知自体を歪ませて正当に考えてしまうこと
Ex) タバコを吸う人が体に悪いとわかっているが、他の原因で死ぬ人の方が多いと考えて、タバコを吸うこと自体を正当化すること
しかし、認知を歪ませるまで事実を突きつけることは、認知的不協和を促進させてしまうため、要注意
扁桃体をコントロール
扁桃体は危機を察知してあぶないと思ったとき、怒りを発生させ防御しようと考える脳の器官
怒りが発生した状態は、自分の大切な部分に被害が発生するかもしれない状態。怒りが発生した時には、何が怒りの元凶になっているのか、自分自身を構成するもの(アイデンティティ)は何かを考えるきっかけにできる
怒りの感情は、攻撃と防御と逃避で頭をフルパワーで使うため、冷静に物事を考えられない。
もし自分が、怒りの感情を持った時には相手に悲しみの感情を持っていることを伝えることが大事。そうすることで、相手が自分のアイデンティティを知るきっかけになり、繰り返さないようにするかもしれない。
問題解決より問題を正しく認知することの方が難しい。無意識で認知を歪ませる可能性があるので、認知が歪むきっかけを知り、自分は間違っているかもしれないという思考に早めに気づく必要がある