第四挿話:カリュプソ
読書ログ(2020年8月)
長かった第三挿話が終わり、第二部、第四挿話へ。65、66頁
彼の内部独白はスティーブンと違い、神学も歴史も文学も音韻の話もない。内臓を調理したものが好きで、特に羊の腎臓の直火焼きがお気に入りの中年男性の文体だ。彼は朝食を作っている。
猫がいる。ミルクをねだられる。彼は動物好きだ。"Mr Broom watched curiously, kindly, the hithe black form.(...)"
かがんで膝に手をやって、猫ちゃんにあいさつするブルーム。 一瞬、猫の嫉妬深さ、残酷さ、その性質に意が向ける。この猫ちゃんは"She"が表すように。女の子である。
これは、妻の事も無意識に頭によぎっているのだろう。まだ読者には明かされないが、モリーは今日、ボイランという男と逢引をすることになっている。ブルームはそれを知っている。しかし、抗することをしない。代りに、家に帰らず1904年6月16日のダブリンをさまようことになる。