プラグマティックな格率
パースはここで、理解の明晰さに関する第三段階という言い方をしている。彼が意味している第一段階とは、社会的な通念のレベルでの明晰さ、あるいはわれわれが常識のもとで「自明」としているような明晰さのことである。そして、次の第二段階は、デカルト的懐疑の下での内観のレベルでの明晰さである。これに対して、彼自身のいう明晰さの第三段階とは、ある対象についての思考や概念を、その対象が「効果が行動に対しても実際に影響を及ぼしうると想定されるなら、それはいかなる効果であると考えられる」か、という形に分析しなおすことである。 パースはこの格率を「プラグマティックな格率」と呼んだが、それは私たちの思考内容を、実践や行動に臨む自分にとっての有意義さの観点から、はっきりとしたものにするべきだと考えるからであり、そして行動に臨む際の有意義さの観点とは、対象が行動に対していかなる実際の影響、効果をもつかを考える、ということである。