写真撮ってもええ?
ベッドで静を見下ろしながら、遠慮がちに遥が言った。 「遥は気持ちええことしかしてくれへんやん」
いたずらっぽい笑みを浮かべて静が言った。
頬は赤く上気して、額には汗が光っていた。
遥は微笑んだ。
「今?」
「うん」
遥が慎重に返事をすると、静はくすぐったそうに笑った。
「ええよ」
「ええの?」
遥は嬉しそうに笑うと、ヘッドボードに置いてあったスマホを取った。
「こっち見て」
遥がカメラを向けると、静は恥ずかしそうに笑った。
「きれいや、静」
ため息まじりに遥が言った。
薄明りの中で見る静は、まるで十代の少女のようだった。
「僕も遥撮りたい」
「ええよ」
静も自分のスマホを手に取ると、カメラを遥に向けた。
「遥もきれいや」
二人はお互いに向けて何度もシャッターを切った。
「遥」
隣で横になっている遥に、静が呼びかけた。
「ん?」
少し眠そうに遥が答える。
「僕、これロック画面にした」
スマホの画面を見せながら、嬉しそうに静が言った。
「あほ」
そう言って遥はくすくすと笑った。
「まあ、僕はこれやけどな」
遥が静にスマホの画面を見せると、静はキャハハと高い声を響かせて笑った。