はいカツパン来た~!完全大勝利~!
「神田橋さんと一緒に行動しとると恥ずかしい」
「僕も恥ずい」
「僕も恥ずいです」
円の言葉に、遥と静が続けて同意した。
「なんで僕だけ」
和に眼光鋭く射すくめられた静が、体を縮こまらせた。
「神田橋さん、僕も殺してだ」
「ほな僕も殺して」
半笑いで言う円に続いて、アイスコーヒーにミルクを入れながら遥が言った。
「何ほの連帯感?」
和が不機嫌そうに言うと、円はにっこり、遥は肩を震わせて、静はキャハハと笑った。 「和は食いすぎ」
デザートに手を付ける和を見ながら遥はあきれたように言った。
「エビちゃんを見てみぃ」
遥が静に視線を移すと、和もそれに倣った。
静はやっとホットドッグを食べ終わったばかりだった。
「クリームソーダとホットドッグってなんなん?子供なん?」
「ええやん」
静を煽る和を、円が制した。
「かわいいやん」
円の言葉に、静が舌打ちする。
「ようけ食べる神田橋さんがかわいいなって言うたんやで」
目を細めて和を見つめて、円が言った。
「なんなんスかマジで???」
その様子を、遥がニヤニヤ笑いながら見ている。
「なんスか?」
「いや、かわいいなぁと思て」
遥は笑いながら言った。
「ええなぁ神田橋さんはモテて」
クリームソーダを飲み干した静が、悪気のない声で言った。
頬を上気させた和が静をにらみつけたが、誰も怖いと思っていない様子だった。
「なあ~、旅行行きたないスか?4人で旅行~、近場でええけん、淡路島とかぁ」 ココア風味のバウムクーヘンを平らげた和がメニューを眺めながら言った。
「おまえまだ食うんか……」
「さすがにちょっと時間置きますよ」
あきれる遥に、和は何の気なしにそう言った。
「ちょっと時間置いたら食うんか……」
遥も和が大食いなのは昔から知っているが、何度見てもその細い体のどこに食べたものが入るのか、不思議で仕方がなかった。
「そんなことより旅行行きたないスか?」
「僕ら4人がいっぺんに休みとったら仕事が回らんのとちゃう?」
円が言うと和は深いため息をついた。
「東雲さんと二人で行ったらええやん。ていうか二人で行きたいんちゃうん?」
いたずらっぽい笑みを浮かべて静が言う。
「破廉恥なことを言うな!!」
わかりやすく顔を赤くして声を上げる和を見て、静は高い声を出して笑った。
「俺は4人で行きたいんや、伊勢原さんにはずっとお世話になっとうし、エビのことやってギリギリ好きやし」
すねた声で和が言う。
「え?僕は?」
わざとらしく円が訊ねる。
「東雲さんにはッ!その!いつもご教育いただいとうし!!」 「あんまり教育させんといてほしいんやけどなぁ」
姿勢を正す和に、円は呆れ声で言った。
「日帰り旅行でええなら、僕がいつでも運転手させていただきますわ」 円が笑顔で言うと、和は嬉しそうに笑った。
遥も静も楽しそうだった。
「ほな、ちょっと時間も経ったししょっぱいもんでも食おうかな〜」
メニューをめくる和に、一同は再び呆れ顔を見せた。