風になるにはまだ
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発行 2025年8月22日
著者 笹原千波
装丁 小柳萌加 (next door design)
装画 竹浪音羽
出版社 東京創元社
ジャンル SF
とてもよかった。人類が肉体の人格をデータに移行出来るようになった世界での6篇で、それぞれの話に別の話の登場人物がちらっと出てきて、どれも共通の世界での出来事であることを明示しているのも面白い。
基本的には先週ちょろっと書いた感想と同じで、いいんだけど、6篇あることで世界観が立体的になる一方、設定の矛盾だったり説明のなさもぽつぽつ気になってしまい、正直もったいないとまでは言わないまでも、自分はやっぱり最初の2篇「風になるにはまだ」「手のなかに花なんて」あたりの繊細さと緊張感が一番好きだったかな。
肉体の世界と仮想世界を挟んで人がやりとりする感覚のズレだったり、気持ちのやり取りに慎重になる様子にフォーカスすることで、変に舞台である仮想世界の設定をSFっぽくあれこれ説明しなくても自然と奥行きを想像して感じられるくらいのバランス感覚に面白みを感じたので、ほぼほぼ完全に仮想世界がメインの舞台になり、一応社会設計上の制限はあれど作ろうと思ったらなんでも作れちゃう世界のお話ということになってしまうと、それほどにはっていう感じというか。
それでも、中には「その自由な瞳で」の冒頭での情報人格同士のセックス(と思われる)描写などは、あまり見たことのない新鮮さがあってめっちゃゾクゾクさせられたりもしたので、一概には言えないけども。
刊行記念かなにかで創元社が最初の2篇「風になるにはまだ」「手のなかに花なんて」を全文無料公開中なので是非。
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