言語の七番目の機能
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発行年月 : 2020年9月(翻訳)
出版社 : 東京創元社
ロラン・バルトの実際の事故死から話を飛躍させて、実在した70年代ヨーロッパの知識人たちが、タイトルでもある言語の七番目の機能の秘密をめぐって論破合戦をしたり殺されそうになったり金玉ちょん切られたりする無茶苦茶なミステリーで面白かった。
正直出てくる知識人達については、本人の名前と著作のタイトルを知ってるかどうかぐらいの浅学さでも十分楽しめたのだけど、作者的にはあの時代の政治と思想を茶化すような意識もあったらしく、やっぱりその辺りに関してまともに知識がある人が読んだ方が面白そうなのは間違いないと思う。
ただ主人公の一人であるシモン・エルゾグが記号学を駆使して登場人物の背景を推理したり、劇中に行われる「ロゴス・クラブ」というファイトクラブ的な討論の地下イベントで展開される議論の展開などを読むと、記号学の入門のようなかたちにもなっていて、こっからその辺の話に興味を持って勉強してから読み直したら面白そう。自分はやらないと思うけど。