新聞記者
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公開年 : 2019年
監督 : 藤井道人
制作会社 : The Icon, スターサンズ
役者の演技も全体的な演出のトーンもよかったのだけど、近々の政治の世界で起きた問題とほぼ同じような事件がストーリー上でも起きながら、映画的なクライマックスの盛り上がりのためか、わかりやすいモチーフの陰謀論の話になっていくのに少し座りの悪さみたいなものを感じてしまった。
あれだけ現実に寄せたモチーフを出すのであれば、最後まで現実的な嫌なものを見せてほしかったというか。
むかし内田樹が沖縄の米軍基地に核があるに違いないみたいな事を書いていたのを読んだ時と似たような興ざめ感かも。別にそんなのあるわけないじゃんというつもりもないのだけど、それまで聞いてきた話の握りまでスッポ抜けるような感覚。
とは言え、そんなにリアルにしてしまうと、それこそ政権寄りの界隈からのバッシングもきつくなって、あいちトリエンナーレのように、公開そのものが危ぶまれるリスクもあるのかも知れないと思うと、一見飛躍気味なフィクションの体を強調することでカモフラージュになっているとも言えるのかもしれない。
そう考えると、すごくわかりやすいテーマの作品のようで、それなりに見る側のリテラシーを試されているような気もする。
でもやっぱり、リベラルの側に「こんな陰謀が!」的な部分にフォーカスを当てて額面通り受け取る人がいたり、いると思われると、これからやるべき議論もガバガバになりそうで嫌じゃないですかっていう。
現政権に絡む出来事だと難しいだろうけど、少し時間の経った過去の政治やメディアに関わる事件の実話を基にした作品がもっと作られても良いのかも。