坂の途中の家
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wowowで放送していた『坂の途中の家』のドラマがこないだ終わった。 主人公が法廷で裁かれる実の子供を殺してしまった女性の、母親としての苦悩に対して自分自身のそれを重ねた事でどんどん病んでしまい…という展開の中で、それまで無意識に受け止めていた周囲の人の言葉や振る舞いが、自分を攻撃する凶器のように思えてしまう感じ。精神がボコボコにされているような状況下で周りの人から善意によって向けられる励ましのような言葉が、却って自分に対する肯定感をどんどん削っていくような感覚は、大なり小なり自分にも覚えがあってとてもしんどかった。
ただそれ以上にゾワゾワ来るのは、逆に日々よかれと思って周りの人たちに向けてきた自分の振る舞いが、相手にとって凶器になってたんじゃないかっていう恐怖の方で、薄ら寒い気持ちになってしまう。正直相手次第の話でもあるし、気にし始めたらキリの無い話だから、ある程度の開き直りは自分を守る為にも必要だとは思いつつ、自分が他人に向ける言葉について客観的に捉える姿勢は諦めてはいけないとも思う。
という感じで『愛がなんだ』に続いてまたも角田光代作品の映像化に食らいまくった訳で、いい加減そろそろ原作も読んだ方がいいのかも知れない。 あと映像的な話でいうと、画的にきちんとしてるのに加えて、主人公夫婦の家庭に加えて、主人公が裁判員に選ばれた裁判に関わる人間それぞれが抱える家庭の状況が、 短い話数の中でほとんど混乱なく群像劇のように構成されていて、扱ってるテーマの重さと裏腹にとてもスマートな印象だった。
なのでこれは結構キャリアもある手練の演出に違いないと思ったら、森ガキ侑大さんという、自分と同じ今年36歳になるCMディレクターの方によるものだったので少し驚いた。