ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!
https://www.youtube.com/watch?v=SFUk3VJFHhQ
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公開 2023/9/22
上映時間 100分
やるのすら全然知らなかったんだけど、少し前にアフター6ジャンクションで多田遠志さんが紹介していていろいろ気になるポイントが多く、あえてそれ以上は絵的な部分の事前情報は頭に入れずに観に行ってみたらとても良かった。
大枠では『スパイダーバース』とか『アーケイン』みたいなアナログっぽさのあるブラシによるデジタルペイントと3D(モデルだったりレイヤー感だったり)を合わせたあの感じで、更に落書きのようなガサガサした線だとか、クレイのストップモーション的なキャラクターの質感など、もっとラフに感じるルックが印象的だった。おそらくタートルズのティーンやスケーターカルチャー感みたいなものを表現していそう。
デジタルな制作環境でどうにかアナログな絵の風合いに近づけるアナログもどきを作る、というのは自分もよくあるというかそういう仕事ばっかりな訳だが、時々作業していて「果たしてこれは何をしているんだろうか」という気持ちになったりならなかったりするんだよなあ…というような事を頭によぎらせながら、この『タートルズ』のような表現を観ていると、アナログな手段で作ったアニメーションに近づけるというよりは、アナログな要素をバンバン足して新しい表現を目指していて、なんとなくこっちの方が健全なように思えたりもする。
とは言え、じゃあ今作に画面として驚きがあるのかというと正直そこまででもなかったりする事を考えると、背景と人物やモチーフが乖離して見えてしまうようなデジタル的な立体感だったりレイヤー感だったり手持ちのカメラ感なんかは抑えるか無くしてしまって、もっと平面的な画面空間を目指す方が新鮮に映ったりするのかもと思ったりもした。
という技術的な話はさておき、タートルズの4人がかわいくてずっと愛おしく感じられるので、何は無くともそれだけで素晴らしいなと思った。
外部から来たものが新しくコミュニティに受け入れられるかどうかの不安だったり、起こりうる摩擦だったり、そこで絶望し断絶してしまう可能性とそこを乗り越えて手を取り合う道を探したいという素朴な希望などについて、過度に現実とリンクすることなく自然に読み取れるのもとても良かった。
なんとなく自分がジャンルとして大好きなアメリカ学園映画的なノリもあったりして、最後の方はちょっと泣いた。