ミツバチと文明
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発行 : 2020年9月
出版社 : 草思社
ミツバチは公共を重んじる、高度に進化した複雑な階級社会の一部ととらえられている。一方で、他と関わらず、慎み深く、人目を避け、内向的で、無個性な存在であり、驚異的な自然の仕組みの匿名の一つの歯車である事に満足しているとも考えられている。このことからミツバチは公と私の双方における美徳と結びつけられている。社会的利益を求める外交的な性格だけでなく、古くより憧れの慣習である、公的生活からの引退をも象徴しているのだ。ホッブズの言う「共通の利益と私的なそれが一致している」(『リヴァイアサン〈Ⅰ〉』トマス・ホッブズ著、永井道雄、上田邦義訳、中公クラシックス、2009年)とは、引退した個人も国家における共同生活の中で市民としての役割を担っているということであり、それこそがミツバチ神話の中核をなすものだ。 (p15~16)
196710noby さんのアシナガバチの動画を観ていたら少し蜂に興味が出てきたので、honto のブックツリーで目に入ったこの本を買って読んでみた。
ミツバチの生態や社会性というものが、いかに人間の社会に影響を与えてきたか、という点に関して思いもよらない知られざる事実が書いてあるのかと思いきや、どうもそこまでのものは無いのか、古代から現代にいたるまでの人類の文化の中には度々ミツバチがモチーフが出てきているんです、っていう例がひたすら列挙されているばかりで正直退屈だった。
本の中にも書かれていたようにミツバチの社会構造は、人間社会の特に政治的な部分にたとえられがちだけど、働きバチたちが行っているのを単に利他的な労働と呼ぶにはあまりに都合が良すぎであって、どちらかと言えば巨大なテック企業が提供する便利さを本能のままに消費している「働きバチ」としての我々消費者と、それを通じてビッグデータとより大きな利益を得る「養蜂家」としてのテック企業…みたいな見方の方がしっくりくる気がする。