フェンス
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放送期間 2023/3/19 ~ 4/16
エピソード数 全5話
WOWOWでやっていた野木亜紀子さん脚本による全5話の沖縄を舞台にしたドラマ。
沖縄の、といってもNHKの朝ドラでよく作られていそうな(偏見)、美ら海でのんびり~みたいなものではなく、日米地位協定や基地問題をはじめとする現実の問題に正面から向きあった内容で、とても意義深くて良いドラマだった。アメリカ以上に本土の人間が見てるようで何も見ていない、考えてるようで何も考えてこなかったこと自体の加害性について自覚させられて、全5話と短いシリーズなのに、それを感じさせない高密度でヘビーな鑑賞体験だった。
自分も含めて、実は多くの人にとってぼんやりした認識しかしてない現実の問題を取り扱っているので、まずそこに気づかせるためにも説明的な会話や描写が多くなってはいるのだけど、主人公がライターという設定という事もあってそこまで不自然に引っ掛かるものにはなっておらず、ヘビーとは言っても、説明と娯楽性とのバランスは取れていたように感じる。
まあ多少説明の比重が偏って見えたとしても、こういう問題を扱う以上は、今以上に問題を知らしめることが制作の課題の大きなウェイトを占めているのだと思うので、そこは致し方ないというか、批判されるべきはこういう演出をせざるを得なくしてしまっている、日本社会の認識の低さの方だという事なんじゃなかろうか。また、それは沖縄にとどまらず、家父長制であったり、女性差別の話についても言える話だろう。
ただ問題を広く知らしめると言った時に、放送はWOWOWなので限定的なものになってしまうのは少し残念だし、こういう取り組みをNHKなり民放なりが出来ないのをみると、やはり公共ってなにかね…みたいな事も思ってしまう。WOWOWの姿勢は称えられるべきだとして。
ちなみに、Twitterのハッシュタグで他の人の感想を眺めたりして見ると、JO1の與那城さんに対する言及が多くて、はじめは少しノイジーに感じたのだけど、活動真っ盛りなアイドルの人がこういう社会的なテーマに取り組んだ映像作品に出ることで、彼ら彼女らのファンに少しでも問題意識が伝わることの意義ってバカにならないし、いろいろなルーツの人間がアイドルというかショービジネスの世界で活躍する事の意味についても考えさせられた。
あとレイプ被害に遭った登場人物をケアする医者として新垣結衣さんが特別出演しており、彼女と松岡茉優さんが対峙して同じフレームの中に収まっているのは素朴に豪華で良かった。その際の松岡さんが自分と自分の親の過去について告白する場面とその後母親に電話する際の芝居がとても重たくて良いので観て下さい。
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