ハッシュ!
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公開 2002/4/27
上映時間 135分
こないだなんとなく久しぶりに観直してみて、改めて素晴らしい映画だなと思った。
何度も観ている作品だから当たり前かもしれないけど、観る度に感じる事が違うというか感じ取るものが増えるというか、解像度が上がるのは、これも当たり前の話だけど観る度に自分が歳を重ねていて、登場人物たちよりもおそらく年上になってそういう目線で見るようになってきた事もあるのだろうなと思う。
秋野暢子が演じる勝裕の義姉の気持ちも分かるし、それぞれの思いみたいなのがより迫ってくるようになった。
映画でオールタイムベストは何かみたいなことを考えた時に、入れるかどうかずっと候補に入り続ける1本だと思う。
(2020/9/23)
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今テレ東でやっているドラマ『今夜すきやきだよ』において、従来「ふつう」とされてきた類のものではない家族や人間関係のあり方について描かれているさまをみていたら『ハッシュ!』を改めてみたくなったのだけど、配信がDMMとかTSUTAYAとか僻地っぽいところでしかされてない上にSDのみという惨状だったので、これだったら…と思い初回限定版のDVDを中古で買った。 『ハッシュ!』自体、自分のオールタイムベスト映画みたいなランキングを作ったら五指には確実に入るくらい好きでこれまで何回も何回もみていたにも関わらず、年取ってメンタルが老いたせいなのか、感受性がようやく人並みになってきたということなのか、見る度にグッとくる度合いが増している。特にクライマックスのリビングでの修羅場の後、マンションの前で勝裕と軽い立ち話をしていた兄が、勝裕のセクシャリティについて気づいていた事についてさりげなく告白するシーンで今更ながら泣いてしまった。
正確に言えば、その直前の修羅場のシーンと、その最後に朝子に掴みかかられた妻の容子が激高し「アンタんとこのはな みんなけったいやわ」と言ってしまうのに対して、単純な怒りというよりは悲しさとかやるせなさとか色々ごちゃ混ぜになったような感情からか、勝治が思わずひっぱたいてしまうという展開がとても効いていて、自分の家で家父長制的な父として振舞う部分がある一方で、ゲイである弟を誰に言うでもなく優しく見守っている一面もある勝治の人間的というか複雑な部分だったり、またそういった肉親の眼差しを知った当事者の勝裕の気持ちを想像すると、いろいろ込み上げてくるというか。この一連の場面における立ち姿からセリフ回しに至るまで、勝治を演じる光石研さんの芝居は本当によい。
また、義姉の容子がなんの背景もなくただ単純に古い価値観を押し付けてくる人間にしていないのもやっぱりすごい。
本当に素晴らしい映画…なんて思っていろいろ検索していたら archive.org にまるまるアップされているのを見つけてしまった。
(2023/3/7)