チェルノブイリ
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放映開始 : 2019年5月 (日本 2019年9月)
脚本 : クレイグ・メイジン
監督 : ヨハン・レンク
放送局 : HBO(日本 スターチャンネル)
エピソード数 : 全5話
タイトルの通り、チェルノブイリ原発事故当時に現地で対策と調査を担当した化学者ヴァレリー・レガソフを中心に事故が発生した背景や、発生直後に様々な場面で対応に当たった人たちの物語。
全5回なので物足りなく感じるのかなとみる前は少し思っていたけど、それでもずっしり来るものがあって凄かった。大局を制するためとは言え、人も動物も国家に命じられてあっけなくガンガン殺されていくさま。簡単に言えばやっぱ放射能マジ怖い、国家の隠蔽体質マジだめだわっていう。
事故の直接的な責任を問われた所長と技師長と副技師長が分かりやすく悪く描かれ過ぎ的な批判も出ていたらしいのだけど、作品のテーマは犯人探しみたいな事ではないし、そんな悪し様に描かれる人間の行為を生むのも国家の対面や嘘であると言うことが初めから通して伝わってくるので、バランスは取れているように自分は思う。実際の彼らがどんなんだったか知らないけれど、実録もののフィクションとしては。主人公のレガソフも全く手が汚れていないわけではないという描写もあったし。
因みにその所長以下3人の俳優の顔がいい感じの悪そうな人たちなのだけど、最終話のエンディングで当時の記録映像として流れてきて確認できた実際の3人はそれ以上にイイ顔をしていて凄かった。めっちゃ悪そうな顔過ぎてやばかった。副技師長のディアトロフとか特に悪そう過ぎて。
上にはったスクリーンショットは第5話にちょいちょい映りこんでくる、裁判所が執り行われた場所の外に置かれたパチモンのミッキーマウス(おそらく)で、この作品というか事故におけるソ連という国家の体面や見栄みたいなものを象徴しているように感じてしまう。
しかし、なんというか、9年前の2011年3月11日はもちろん、2020年はじめの日本に生きている人間からすると、画面の向こうの出来事と思えない描写ばかりでなんだかどんよりした気持ちにさせられる。原発事故そのものは当然ながら、それ以上に政府による、危機そのものや危機に面した市民への向き合い方までもが重なって見えてきて、40年近く前の社会主義国家の政府に重なっちゃう絶望感がすごい。政府与党全員観たほうがよい。
しかしこういう映像作品をプロパガンダとしてでなく他の国に真正面から作られるのって、当該国の人からしたらどういう気持ちなんだろうか。そいう遠くないうちに日本も中国とか韓国にグゥの根も出ない様な形でやられたりしそうではある。
思えば自分は『シンゴジラ』がこういう作品である事を期待していたような気もする。