Winny
https://www.youtube.com/watch?v=qGBtaIPNbuM
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公開 2023/3/10
上映時間 127分
Winnyがぶいぶい言わしていた頃は、そもそも家にあったのがMacだったというのもでかいが、受験もあってMacのネットワークの設定がぶっ壊れたまま放置していて強制的にインターネット断ちしているような状態だったので事情に疎く、特に思うようなところもないのだけど、今の日本映画界で実録物の映画が作られる機会は悲しいかな珍しくなってしまっているので、なんとなくみねばという気持ちで見た。
最近の日本の社会派映画みたいな括りで言えば『新聞記者』もそこに入るのだと思うんだけど、あちらは現実の事件と明確に重なる部分はあるのにも関わらず、フィクションとして割り切られていて、物語の決着として化学兵器がどうのみたいな陰謀を提示してみせた結果、物語から現実に戻って考えるべき問題がだいぶぼやけちゃったような印象があった。それに比べたらこちらは現実の事件をそのまま扱っているという点だけでもまずは評価したい。
ただ金子勇さんが亡くなってしまっている事もあって、ややヒロイックというか純粋に善き事をしようとした風に描かれているのは賛否両論あるんじゃなかろうかという気がするし、検察の酷さみたいなものに提起される問題の比重が寄っていて、著作権に限らない既得権益側の抵抗が日本のイノベーションを阻害し続けた(結果として今の凋落がある)という、もっと大きな本質的な問題を想起させるようなつくりにはなっていないのが少しもったいなく感じる。そう思わせる描写が全く無いわけではないんだけど。
あるいは現在のネット環境に紐付けて、ユーザーの悪意とか無邪気さ無知さ無責任さとプラットフォームやソフトウェアの管理責任の関係みたいな視点は、今のSNSの問題とも繋がる話だしもっと描かれていてもよかったのでは、とも思う。
それはそれとして、金子勇さんを東出昌大さんが演じていたのがいろいろ味わい深くて良かった。
とりあえず国内でもこういう面白い題材はあるのだからもっとこういう映画も作ればいいのに。