0.5の男
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放送期間 2023/5/28 ~ 6/25
エピソード数 全5話
沖田修一監督による松田龍平さんが主演のWOWOWのドラマシリーズ。とてもよかった。
話数の少なさもあって思っていたよりシリアスなところまで物語の展開は及ばず、基本的にはほのぼのした調子でエンディングを迎えた。それでも節々に、主人公雅治の引き籠りがひどかった時の家庭内の様子とか、両親の老いやいずれ来るいなくなる日の事とか、今あるほのぼのさの下にある現実を想像させるモチーフは散りばめられていて、自分のいい年して実家暮らしな生活と重ねて見ては、いろいろ考えてしまうところも多い。
特にキーになるモチーフである、母恵子が事あるごとに雅治に向けて書いてきた大量の付箋のメモは、それだけで物語が十分に語られてしまうくらい効いていて、若干チートアイテム感すらある。
また、物語上そこまで背景の描かれない妹の夫健太を演じていた、篠原篤さんが公式サイト内のインタビュー映像で語っていた
「ひとから見たら平々凡々でありふれた優しいパパかもしれないけど、明るくて楽しい奥さんがいてかわいい子ども達がいるっていうのは、彼にとっては奇跡の連続で、だから何でも劇的に捉えがち。それが健汰の滑稽さに繋がるのかなと思った」
という発言は結構このドラマのよさの本質的な話だなと思う。
観終わった後で気づいたことではあるんだけど、篠原さんが橋口亮輔監督の『恋人たち』にも出ているのを頭に置いて上の発言を聞き返すと、あの本当にどんづまりみたいなアツシ役からどこかでつながってるような気がしてしまい、なんだか深みが増してくる。
雅治の甥っ子が通う保育園の保育士として出てくるおれたちの西野さんは、西野さん本人のおかしみの魅力と役柄がだいぶ自然に合致していたと思う。4話の保育園の場面で、雅治の元上司が姪の恵麻に雅治が引き籠ったいきさつを話している時、子供の相手をしつつ要所要所でふと驚いてみせたりする細かい芝居なども印象的で、役柄がという以上に、沖田さんの作風や演出と合っているのでは、という気もする。
あと子役の2人も良かった。白鳥玉季さんと加藤矢紘さん。実際白鳥さんが歌っているかは知らないけど、4話のクラスの合唱シーンでなんでか彼女が独唱している『紅葉』がとてもよく、音源化して欲しい。