今夜すきやきだよ
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放送期間 2023/1/7 ~ 3/25
エピソード数 全12話
第6話 なめろうといぶりがっこ
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仕事のギャラと生活、他者との共生の話。
トリンドルさん演ずる絵本作家のともこが、駆け込み気味に請け負ったスケジュールのきついイラストカット仕事を納品した後で、事前に提案した金額からがっつり下げられてしまうというシーンがあって、つらい…となりました。
自分のケースではあんまりないけど、握りの甘いまま作業を頑張り過ぎて、金額言われた瞬間絶句してしまった事ならある。
また次週以降へのブリッジ的に、蓮佛さん演じるあいこがプロポーズされるシーンもあり、ともことあいこの同居生活はどうなるのかっていう展開がいよいよ来てしまった感。原作読んでないからどうなるのか知らないのだけど、結婚とかでこういう今までモラトリアムって言われていたような時間が終わんないで欲しい。
観終えてから橋口亮輔の『ハッシュ!』を観たくなった。
第7話 ふわふわのおにぎり
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ともこがあいこの作った形の崩れたおにぎりを食べながら泣き出すシーンがとてもよかった。
登場人物が泣くシーンを褒めるのなんてあまり良くない気もしてしまうんだけど、トリンドルさんの芝居も、泣き出すに至る積みあげもよかった。
泣いてしまう理由はまた別なんだけど、結婚だったりキャリアだったり、なんだかんだで正道とされるルートをしっかり歩む周りの友人に置いていかれる人の話って個人的に一番クる気がする。
あと、あいこの交際相手としてのゆきが、旧来的な所謂男らしさこそ微塵も見せない男であるのに、要所要所で男女の役割に対する固定観念をちらつかせてくる辺り、自分を省みて神妙な気持ちにならざるを得ません。
というようなことを考えると、あいこがそれでもゆきに惹かれるに足る理由の描写は少し乏しいような気もしてくる。好きになるのに理由なんかないでしょって話なのかもしれないけども。
第10話 今できる全部乗せのカレーライス
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自分の中では、ともこが絵本の制作に向かい、あいこがプロポーズされて同居生活がどうなるのかグラつくあたりが物語のピークで、そこを越えてからは若干トーンダウンというかアウトロのような感覚でみている。
それでもともこにはシンパシーを感じてしまう場面が度々あり、このエピソードでも、結婚して子供をどうするか悩むのを見て「新しい家族が出来ていいよね」なんてあいこに言ってしまうのを見て …わかる~ となっちゃうんだけど、そんなともこに対して「血の繋がりとか、戸籍とか恋愛がなくても我らイソクマでしょうが わたし達も人生の仲間だ」って断言してくれるあいこのかっこよさよ。
最終回 「今夜、すきやきだよ」
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始まった当初は蓮佛美沙子さんが出てるという事で期待はしつつも、PC的なテーマを軸にモノローグと食事に関するシーンで組み立てる、良くも悪くも安定したテレ東的な作品なんじゃなかろうかと、たかをくくっていたところも正直あったのが、終わってみればもちろんモノローグが多いとか単純化してしまってるところもあるにはあるが、作劇にリアリティを持たせる上で発生する色々なテーマから逃げずに登場人物たちを向き合わせていると感じられたのがとても良かった。
最終的にあいこはゆきとの子供を産んで、ともことの同居生活は解消されることになるわけだけど、単純に「ハイ子供産まれました。夫と住むので同居人とは離れます。夫との生活や育児は課題も沢山あるけどなんだかんだで乗り越えられます。なんせ家族なんで。」みたいな事ではなく、そこに至るまでには結構話数を使ってバッファが設けられ、雑な一般論ではない、まずなにが当人たちにとってベターな選択なのかコミュニケーションを怠らずに考える、ということについて考えさせられる。
この辺りの展開について、自分なぞは気の合う同性の友人との同居みたいな現状維持の関係が壊れないでほしいという事ばかり想像してしまったのだけど、それより先のもっと現実的で建設的な未来について考えられていて、モラトリアムに甘えがちな自分を少し反省してしまった。
ただまあ、そういうバッファを取れる余裕というのも、そもそもの同居生活も、あいこが安定した高収入の職についてるから、っていう要素なしには成り立たないところではあるので、今すぐこういった生き方が誰にでもできる訳ではないと思うとちょっと辛いのだけど。
あと、冒頭に書いたように見始めたきっかけとしては蓮佛美沙子さんの存在が大きかったのが、見ていく内にフリーランスという人物設定も相まってともこを演じるトリンドル玲奈さんにぐっと気持ちが寄る場面が多くなったことや、7話であいこと結婚について話して泣きながらおにぎりを食べる場面の芝居の良さなどもあって、どこかでモデルとかタレントみたいなカテゴライズをしてしまっていたトリンドル玲奈さんをきちんと女優として認識できるようになったような気がする。