メメントラブドール
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男の娘コンカフェでバイトしながら「ノンケ喰い」と称してマッチングアプリで男をひっかけて行為に及んではそれを撮影してSNSの裏アカに投稿している若手Sler社員という、いろんなペルソナを使い分けながら生きているどうしようもない人間のどうしようもない綱渡りの日々の話。その手の固有名詞がバンバン出て来たり、だいぶ毒々しくてくらくらするけどそこまで含めて面白かった。ペルソナの話が主題であるらしいけど、男の娘コンカフェの他の店員とか客とのやりとりに、ジェンダーとかセクシャリティとか溶けてよくわかんなくなっているように感じられたのが印象に残ってる。
欲しいのか欲しくないのかわからないものばかり拾い集めて、要るのか要らないのかわからないままそれでも溢れてしまうから順に捨てていく。時代のゴミばかりが延々と続く道の先で遠巻きに指をさされながら歩く私がいる。世界は優しすぎるから、投棄する私を誰も責めない。致命傷を負わせてくれない。さっさと殺してくれたらよかったのに。ベッドから私に延びる視線が直線から放物線に変わったあと、わざとらしい咳払いが聞こえた。
(市街地ギャオ『メメントラブドール』, p127)
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