マッドマックス:フュリオサ
https://www.youtube.com/watch?v=XJMuhwVlca4
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公開 2024.5.23(オーストラリア), 2024.5.31(日本)
上映時間 148分
1回目
日本橋の東宝で。Dolby Atmos。
前作『フューリーロード』と比較するとなかなかまったりした調子で、どこか『フューリーロード』以前の作品の午後ロー感があり、そこがなんか良かったような気がする。
また、主人公が復讐へと突っ走るに至る怒るきっかけというのは当然物語上にいくつも作られているのだけれど、その時に観客がつい反射的に感情移入したくなってしまうような凄惨な描写というのはだいぶ抑えられているように感じたのも結構印象的だった。問答無用でディメンタスは酷いんだけど、その酷さに観客がフュリオサと同化してぶちギレる他ないという見え方にはなっていないというか。
その辺りについて物足りなく感じるという声も当然あると思うし、自分も実際そう感じるところはあるのだけど、前作の公開から今に至るまでに表面化したSNSの状況だったり戦争だったりといった世界のグロさを考えると、必要な、配慮というよりは作り手の意識の変化なのだと受け取った。
しかしフュリオサの幼少期のパートでは役者がこどもである事や、クリス・ヘムズワース演じるディメンタスのデタラメさ(ディメンタス・チャリオッツの馬鹿馬鹿しさとかやばい)だったり、そもそもの作劇自体のゆるさなども相まって、なんだかディズニーのアニメ映画か何かを観てるようなファンタジー感さえあったのだけど、そこから一転、成長したフュリオサことアニャ・テイラージョイの真っ白くてデカい眼が油まみれの中ガン開きになった瞬間、一気に画面が締まったように感じられ、とにかくピカピカのウォータンクだのボミ―ノッカーだのなんだのにニコニコしっぱなしになれるのであった。あの眼だけでもシャーリーズ・セロンから変更してしまった理由として十分説得力があると思う。
そのほか、ラジエーターを冷やす為ボトルに入れた自分の小便をかけに登場するピスボーイとか、どう考えても無駄というかただ危ないだけの長い布をバタつかせながら凧みたいなバイクで攻撃してくると思ったら案の定の結果になるオクトボスあたりが、今回好きなキャラとして心に残っています。
いろいろ書いたけどとりあえず暇だしまた観に行くと思う。
(2024.6.2)
2回目
日比谷の東宝で。今回もDolby Atmos。
2回目ということもあり、ある程度どういう尺感のどういう内容のものかわかった上で観てみると、1回目よりもかえって素直に受け取れてただ普通にすごい映画じゃんとなった。
普通に、というのはフューリーロードと同じものを期待していたわけではなかったつもりなんだけど、あの特異点的なテンションの映画に連なる作品だからということで、初見の時は結構構えて観てしまっていたんだなってのを改めて感じたので。
初見の時にも思って書き忘れた事で言えば、ぶっちゃけただのボンクラなんだけど生命力としつこさだけが頭抜けためんどくさい不良に目をつけられたばっかりに延々追い回された挙句、自分の大事な存在がひどい目に遭わされてしまうっていうのはすごく1作目っぽい気がする。そんな似た境遇から如何に復讐を果たすのかというクライマックスで、気持ちよくぶっ飛ばしてカタルシスを簡単に感じさせるのは簡単だけど、そこでそれをせずにマックスにもディメンタスにもならないフュリオサのあり方を見せるのはやっぱり今っぽいキャラクター造形だなと感じる。
で、その先のフューリーロードにおける疲れ切ったフュリオサの様々なアクションの一つ一つが意味合いを帯びてグッとくるように見えてくるのは本当にすごくて、フューリーロードのテンションを求めて今作を見るとちょっと肩透かしかも知れないけど、これを観るとフューリーロードがより面白く観れるのは間違いないと思う。
(2024.6.24)