∀ガンダム
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総監督 富野由悠季
演出 渡邊哲哉 森邦宏 南康宏 岩崎良明 池端隆史 山口美浩 北川正人 鳥羽聡 西森章
脚本 星山博之 千葉克彦 高山治郎 浅川美也 高橋哲子 太田愛 大河内一楼
放送局 フジテレビ
放映期間 1999年4月9日 - 2000年4月14日
エピソード数 全50話
なんとなくリアルタイムで観たような気にもなりがちなところ、実はアニメ自体から離脱しつつある年頃だったというのもあって最後までは観ていなかったりする。というかガンダムという大枠自体、子供の頃にめちゃくちゃ好きだった記憶はあるので、ついついガンダムのことを知ったようなつもりで構えてしまうのだが、自分のガンダム体験なんてプラモデルであるとか派生物であるSDガンダムやスーパーロボット大戦を通して触れていたのが大半なのであって、映像作品自体をちゃんと見たものってそんなにないのだよな。というのをちょっと自覚し直した。
それはそれとして∀。Vガンダムでもやろうとしていた、世界名作劇場的な画面のトーンで戦争と相対する健やかなこどもや若者たちを描く試みは、失敗して歪になってしまっていたVガンダムよりも遥かに成功しており、エピソード単位でも特に地球が舞台の前半では牧歌的な話も多くて、「やさしいガンダム」みたいな感想をよく目にするのもうなずける。
そんなやさしくて牧歌的なムードがある一方で、戦争の生々しさ、それも兵士の生き死にみたいな部分でのリアリティの話でないもっとマクロな描写というのか、市民感情が戦争に傾いていく様子であったり一部の人間が軽はずみで暴発して和平交渉がおじゃんになる様子だとかは、現実で今見せられる光景を想起させられてどんよりするものがある。もっと言えば、より進歩的な科学と産業を持つ民族が「ここは自分たちの故郷でもあるんで」などと言って、それまでそこに住んでいた人間を野蛮人扱いしながら強引に入植を進めて以降とするあり方なんてのは、今のリテラシーの目で観るとほとんどパレスチナで繰り返されてきたことと同じ構図であるとしか思えず、他のガンダム作品以上にしんどい気持ちにさせられる。
そういった点で地球が舞台の前半は現実の問題と絡めてよい意味でとても考えさせられる内容だったのだけど、宇宙に出てからはその辺りがやや薄まっていくのが少し物足りなくも感じた。特にそれまで明確に悪い人物というものを極力出さずに物語の緊張を保っていたのが、シンプルに悪い人物であるギンガナムの登場以降はフィクショナルな味付けが濃くなって均衡が失われたことが大きいだろうし、いわゆる「黒歴史」の話と∀ガンダムという存在についての回収みたいな要素が大きくなるせいもあるかもしれない。
それでもまあガンダムで一番好きだし、今こそ観るべき作品だなと思う。
キャラクターはみんな愛おしさがあるのだけど、中でもリリ・ボルジャーノンが小林愛さんの声の色っぽさも相まってとてもよい。服装も可愛いし。キャラクターデザインの画集のコメントによると当初はもっとモブなキャラのつもりでデザインしていたのが、富野由悠季が「もったいない」ってことでメインキャラに昇格したのだとか。メインキャラとは言ってもわかりやすく腕の立つパイロットとかアニメ的にキャッチーなエキセントリックさがあるわけではない(服装は飛ばしてるけど)けど、地味に政治能力の高さが伺える振る舞いだったり、別に性格がいいわけでもないっていう複雑さを持っているのがよい。最高。
#animation