清永聡『家庭裁判所物語』
清永 聡『家庭裁判所物語』(日本評論社・2018年)
著者はNHKの解説委員。初代の家庭局局長となった宇田川潤四郎の活動を中心に、初期の家庭裁判所をめぐるエピソードを紹介する。著者の関心の出発点は、少年法改正にあったようで、1960年代から1970年代の法務省と裁判所の対立などの議論が詳しく触れられている。他には、内藤頼博、三淵嘉子が準主役的扱い。秋武憲一への東日本大震災後の家庭裁判所の活動の取材も付け加えられている。 私自身も初期家裁のファンなので、共感するところは多かった。例えば、「当時の気の高ぶり」などと初期の理想を切り捨てようとする最近のシニシズムには、怒りさえ感じるところなど。(p.231)
もっと重厚な物語として読みたかった気がするのも一面ではある。たとえば、関係者のオーラルヒストリーがあればよいが。
2018/10/10