リクルートワークス研究所 オンラインセミナー 家族と仕事
https://youtu.be/56KusF2Y8Uw?si=cVSpDkOIEIHgj0MV
リクルートワークス研究所が開催したオンラインセミナー「『家族』と『仕事』の10年と今 ――データが示す『変わる個人、変われない構造』――」の要約です。
全国就業実態パネル調査(JPSED)などのデータをもとに、この10年で起きた家族と働き方の変化、それによる職場の課題や新たな繋がりのあり方について3つのパートで報告されています。
1. 家族と働き方の10年(データ分析) 06:58 この10年で、個人のライフスタイルや働き方は大きく変化した一方、社会の構造や価値観は変われていない実態が浮き彫りになりました。
単身化の進行: 雇用が安定(正社員化)しても結婚しない「単身正社員」が急増しています。
共働きの一般化: 女性の正社員が増え、夫婦ともに正社員の世帯が増加しました。
地方への波及: これらの変化は都市部だけでなく全国共通で進んでいます。
少子化のさらなる進行: 子供を持つ選択の交代が顕著です。
正規・非正規格差: 企業に雇用される働き方がメインであり続け、格差も残存しています。
マザーフッド・ペナルティ: 母親が育児により働き方をセーブせざるを得ず、賃金やキャリアが阻害される構造が続いています。
親族以外との同居の少なさ: 家族や親族以外と暮らす選択はほぼ普及していません。
家事の自動化・外部化への消極性: 時間のない共働き世帯でも、家事家電の利用や家事代行の活用は限定的です。
「単身正社員は繋がり(頼れる人)が足りない」「共働き子育て層は時間が足りない」など、累計ごとに抱える困難の質が異なります。しかし、お互いの状況が具体的に見えないため、一面だけを見て羨み合い、共感しにくくなる分断が起きています。
仕事の状況(長時間労働など)が結婚・出産を阻み、逆に家族の状況(育児・介護)が転職や昇進などのキャリアアップを制限し合う構造が、特に女性で顕著に見られます。
2. 職場で起きている問題と解決へのアプローチ 30:26 多様な背景を持つ社員が同じ職場で働く中で、従来の「全員が同じように働ける」前提の制度設計が摩擦を生んでいます。
制度を利用する本人: 育児・介護などで柔軟な働き方をする人は、裁量や挑戦機会(仕事のレベル)が低下し、キャリアの停滞感を抱えがちです。
周囲の社員: しわ寄せにより仕事量や残業が増加し、不満や不公平感が高まり、離職リスクに繋がっています。
特定の人向けへの手当などの直接的な対応よりも、**「職場全体の仕組みや風土を変えること」**が効果的です。
具体的には、負荷の高い業務の廃止(業務プロセスの変革)、自宅でも学べる動画研修の整備(組織的人材開発)、利用条件を設けない柔軟な働き方の導入などが挙げられます。特別な人への例外対応ではなく、全員が恩恵を受ける「新しい標準」を作ることが企業の成長に繋がります。
3. 関係縮小化社会と「新しい繋がり」 41:43 日本は人間関係が家族と職場に集中しがち(関係縮小化社会)であり、単身化が進む中で「困ったときに誰も頼れない」孤立のリスクが高まっています。
学びの機会: 社内外の研修やセミナーなどの集合型学習は、キャリアの相談相手や頼れる繋がりを構築する強い契機になります。
多様な繋がりの実践: シェアハウス、コレクティブハウス、テクノロジー(弱いロボットやAIアバター)など、家族や職場以外のサードプレイスとしての新しい関係性が模索されています。
特徴: 「密接すぎない(自立と協同)」「不完全だからこそお互いに頼り・頼られる」「永続しない前提だからこそ快適さを保つ努力をする」といった関係性が、個人を支える新たな力になります。
繋がりを増やすためのインプリケーション: 51:14 家族・職場以外の繋がりの価値を可視化すること、試せるハードルを下げること、そして何より仕事以外の時間を生み出すための**「働き方の余白(空白の時間)」**を職場が作ることが重要です。
家族と仕事の形が多様化する現代において、古い性別役割規範や「全力を仕事に注げる人」を前提とした正社員の働き方のままでは、個人の選択も社会の持続可能性も狭まってしまいます。企業は、すべての社員に「仕事以外の人生や役割がある」ことを前提とした経営へ転換していくタイミングを迎えています。
2026/5/26