正しくリスクを認識し、適切に扱うために
前提
リスクは大きく3種類。このリスクを防がないといけない
1. 情報漏洩のリスク
大事に扱う情報
個人情報
著作権・特許
事業上のノウハウ
2. サービス停止リスク
社外からNPに期待されている役割を全うできない状態
3. 訴訟・損害賠償のリスク
お預かりした情報の漏洩
サービス停止に伴う、お客様への損害の発生
SLAを守れているか
リスクは「何かアクションを行う」から発生する
飛ばない飛行機に墜落リスクはない
走らない電車に脱線リスクはない
障害が絶対起きないsystemはない
リスクの発生確率・ダメージの大きさは「UseCase(使い方)」によって決まる
点検業務が月一回しかなければ、整備不良による墜落リスクは上がる
急カーブが多い路線で、たまたま乗客が多く乗降に時間がかかった場合、スピード超過による脱線リスクは上がる
上記前提を踏まえて、リスクの整理は以下の流れで行う
0.iconそもそもどんなBenefitのためにやろうとしているのか
1.iconUse caseの整理をする。どう使おうと思っているのか。
2.iconUse caseごとのriskの洗い出し。どんな損害が発生しうるのか。
3.iconリスクに対して「予防・対策」を計画。
4.iconリスクに対して「リカバリープラン」を計画。
5.icon予防・対策・リカバリープランと、Benefitを踏まえて、「それでもこの使い方をするか」の意思決定
1.iconUse caseの整理。どう使おうと思っているのか。
2.iconUse caseごとのリスクの洗い出し
Human Error(悪意のないミス)とMalicious attack(悪意ある攻撃)の2つに分けて想像する
このタイミングは「そんな大袈裟な…」と思うレベルに全部の可能性を洗い出す
Human Error
めんどくさい、ちゃんと理解できない状態(泥酔状態)だと起こりうるミスは何か?と考える Malicious attack
「この組織を見限って、悪意あるアクションをしてやろう」というときにやれることを考える
3.iconリスクに対して「予防・対策」の作成
「予防・対策」は3種類の観点で整理をしていく
システム制御
リスクある操作がそもそもできない状態にする
例:会社貸与のPCでなければ仕事ができない状態にする
マニュアル整備→徹底
リスクがない操作だけが実行されるよう、「この使い方をしてください」を定義する
例:ファイル送るときはパスワードつけてメールに添付するのではなく、専用のファイル送信アプリを使う
利用者のリテラシー依存
リスクある操作を本人が避けるよう、「この使い方は(〜〜という事故を起こすので)まずい」と認識する
例:資料を転送すれば自分のPC/スマホでも仕事ができるけど、自分のPCのセキュリティには不安があるので、絶対やらない
3つの施策どれでリスクを抑えてもいいが、「システム」→「マニュアル」→「リテラシー」の順で検討する
理由
マニュアル・リテラシーに依存すると、利用者を制限する必要が出てきてしまう
「正しい使い方」を自分が遵守するよう、気をつけながら作業しないといけない。
作業時間帯(集中力が落ちがちな夜)によってはriskが上がる
例:Data削除のボタンが画面上にあって、一度押せば削除されてしまうから、「Data削除じゃないよね?」と確認しながらマウスでクリックしなければならない
Human Errorの発生riskが上がる
できるだけシステム制御することで「誰が使っても安心」「いつ使っても安心」の状態を作ろう
寝不足な状態は飲み過ぎと同じくらい注意力が低下する
「忙しい時にもやらないといけない作業」であれば、システム制御を入れてriskを下げておこう
4.iconリスクに対して「リカバリープラン」の作成
予防・対策を立てていても「リカバリープラン」は考える
理由
複数人が利用する場合、「想像もしなかった使い方」が必ず発生する
想像もしていないので、riskとして認識できていない
予防も対策も準備されていない可能性がある
特に普段関わりの薄いmemberも利用する場合は、「マニュアル通りにやってくれない」もriskとして考えておく
リカバリープランは以下3つの観点で整理する
1. 事故の発生にどうやって気づくか
早く気づけた場合、致命傷にならないことも多い
例:インターネット上に機密情報を公開してしまったが、気付くのが早く、誰にも閲覧されることなく情報削除を行えた
基本は「システムアラート」で気付こう
忙しかったり疲れていたりすると「いつもとの違いに気づく」に気付くが難しいため
リスクが発生した場合、必ずシステムアラートが飛ぶように事前に設定しておこう
定期的に「人によるチェック」をしよう
システムアラートは「システム上の検知できるrisk」しか対応していない
忙しいと後回しにしちゃうので、「定期的にやる作業(例:月次経理)」と合わせて実施するのがおすすめ
2. 事故の対応チームをどう組成するか
気付いたら、すぐに対応ができないといけない
事前に「発見次第誰に報連相すべきか?」を把握しておこう
会社の場合「管理監督者」が必ず置かれている
特に個人情報・機微情報の漏洩についてはISMS・Pマークなどでドキュメント整理されているはず どの事故であっても、「外部向けの謝罪対応」「正常な状態へ戻す作業」が発生したりと組織全体で対応を進めることになる
3. 発生後に「対策」「恒久対応」をどう進めるか
速やかに「対策」と「恒久対応」の方針を立てる
事故発生時はテンパって正常に判断できないので、事前に対応方針を決めておく
5.icon予防・対策・リカバリープランを踏まえて、「それでもこの使い方をするか」の意思決定
リスクは絶対にある
リスクの予防・対策・リカバリーにもコスト(準備の時間・お金)がかかる
コスト払って、リスクを残した上でも「使いたい!」ものなのか?
改めて「なぜこのツール・仕組み・運輸おをする必要があるのか」を整理した上で、チームで意思決定をする