戦略
最も広義には敵対的な政治集団間の闘争の技術をいう。戦略の語源はギリシア語 stratēgosから派生したもので,「将軍の術」を意味した。この言葉が軍事上の意味で広く使われるようになったのは 18世紀末からで,以後次第に本来の軍事的意味からはるかにかけ離れて用いられるようにもなった。政治闘争上の戦略とは綱領的な基本目標によって設定される闘争の一般的方向性をいい,戦術とは戦略に基づく個々の具体的な場面における判断や闘争の技術のことをいう。普通は次の3種の戦略を含めたものをいう。 (1) 作戦戦略 作戦目的を達成するため高次の観点から大規模な作戦部隊を運用する方策をいう。戦略という言葉が用いられはじめた 18世紀末,K.クラウゼウィッツは「多くの戦闘を連合して戦争の目的を達せしめるのが戦略であり,一つの戦闘を計画し実施するのが戦術である」と定義している。 (2) 軍事戦略 戦争目的を達成するために国の軍事力その他諸力を準備し計画し運用する方策。 (3) 国家戦略 (大戦略) 国家目標の達成,特に国家の安全を保障するため,平時戦時を通じて国家の軍事,政治,経済などの諸力を総合的に発展させ,効果的に運用するための方策。