パラメータ表示と集合・写像
直線など図形のパラメータ表示の話
が別個に出てきたけどこれを関連付けた話をするのを忘れてたので書きます。
※注意「パラメータ表示」には一応もっと厳密な定義があってここの話はすこしラフです。
「パラメータ表示」「写像の値域」「集合の内包表記」の3つを関連付けて考えられるようになればこの記事の目的は達成です
話の要点は次の3ステップです。
要点
空間内の点とベクトルは同一視できる
図形はベクトルの集合として表せる
「パラメータ表示」とは「写像の値域」で「図形」を表すことである
空間内の点とベクトルは同一視できる
これは良いと思うので略します。位置ベクトルとして解釈するということです
図形はベクトルの集合として表せる
図形とは点の集合のことです。前段から点とベクトルを同一視すればベクトルの集合でもあります。
たとえば「方程式$ x=2で表されるxy平面上の直線」というのはベクトルの集合です。つまり、集合の内包表記を使うと $ L = \{(x, y)^T \in \mathbb{R}^2 \mid x = 2\}
と書かれる集合$ Lが直線を表します。
これのことをめっちゃ短く言うと 「直線$ x = 2」になるということです。
同様に、3次元空間内の平面$ x + y + 2z + 1 = 0だったら、こうです。
$ P = \{(x, y, z)^T \in \mathbb{R}^3 \mid x + y + 2z + 1 = 0\}
「パラメータ表示」とは「写像の値域」で「図形」を表すことである
以下、直線の場合で話しますが任意の超平面に同じことが言えます。
※というか超平面じゃなくても良いです。
さっき出てきた直線Lをつかいます(再掲)
$ L = \{(x, y)^T \in \mathbb{R}^2 \mid x = 2\}
これのパラメータ表示の一例は次のような式です:
$ (x, y)^T = (0, 2)^T + t(0,1)^T.(ここでパラメータtは$ t\in\mathbb{R}全体を動く)
ここから、これを写像という言葉で言い直します。
右辺は実数tから2次元ベクトルへの写像として見られることに注意してください。
つまり、写像$ fを次のように定義します:
$ f: \mathbb{R}\longrightarrow\mathbb{R}^2
$ f(t) = (0,2)^T + t(0,1)^T
この$ fの値域、つまり実数全体の移り先が直線Lです。
$ L = \{(x, y)^T \in \mathbb{R}^2 \mid x = 2\} = f(\mathbb{R}) = \{f(t) \mid t \in \mathbb{R}\}
つまり、「図形$ Lをパラメータ表示する」というのは、より正確に言えば「図形$ Lに対して$ L = f(\mathbb{R})となるような写像$ fをつくる」ということだと言えます。
終わり。
一般化する
ちなみにより一般化すれば、パラメータは1つの実数である必要はないです。
そこで抽象化してまとめると、次のように言えます:
n次元空間$ \mathbb{R^n}内の図形$ Mをパラメータ表示するとは、
パラメータの集合$ Pと、
$ Pから$ \mathbb{R^n}への写像$ f: P\longrightarrow\mathbb{R^n}とを用いて、
$ M = f(P)が成り立つようにすることである。
そうなるような$ fをみつけるという意味
関連
パラメータ表示は
の文脈でもでてくる