国語教育シンキングツールの活用法
国語教育に、なぜシンキングツールが必要なのか?
学習指導要領概要
学習指導要領では国語科の目的として、「言葉を通して他者や社会と関わろうとする態度を育成するとともに、 言葉の持つ意味や働きについて、 言葉の使い方を通して理解を深め、 生涯にわたって学習する基盤を培うことを目的とする。」としています。
シンキングツールは考えの見える化や考えの関係、 順序などを整理し理解するのに有効であり、 さらに他者と協働して考えやアイデアを広げ、深め、 まとめる時にも使いやすく、 国語科の目的を達成するためも有効で必要な「 ツール」 であるため、国語科で目的とする能力の育成に役立ちます。
国語科において育成したい能力
コミュニケーション力
話す、聞く、読む、書く能力の総合的な向上を目指し、それには相手や目的に応じた適切なコミュニケーションができるようにすることが求められています。
例えば、筋道を立てて話す能力や、段落相互の関係に注意しながら文章を書く能力など、日常生活で必要な力を国語の授業を通じて身につけていくことがとても重要です。
シンキングツールを使って思考を可視化することで、自らの考えをまとめやすくなり、わかりやすい説明や作文を行いやすくなります。
思考力・表現力
論理的に物事を考える思考力と、それを他者にわかりやすく伝える表現力も国語教育では重要視されています。
シンキングツールを活用することで、思考を可視化して、論理的に物事を考える力を養うとともに、情報の整理・関連付をしていくことで、より効果的に表現するための工夫をすることができます。
豊かな感受性・想像力
国語教育では、ただ客観的な事実を伝えるだけでなく、言葉を通じて豊かな感性や想像力を育て、感情豊かなコミュニケーションができるようにすることもまた求められています。
さまざまな作品や文章に触れていく中で、シンキングツールをつかって思考を可視化していくことで「どのように感じたのか」「どこに心を動かされ得たのか」をより具体的に考えることができ、ゆたかな感受性や創造力を身につけていくことができます。
シンキングツールで育成することができる力
上記の学習要領に添った能力を育成するには、シンキングツールの活用が極めて有効です。シンキングツールは、児童の思考を可視化し、新しい考えを生み出しやすくなります。
思考の構造化・可視化によって児童は自らの独自の視点を持つことができ、言葉と多角的に向き合うことが可能になります。
どのように教科教育に取り入れていくべきなのか?
基本的な活用方法
思考の発散と収束
シンキングツールを使った授業デザインにおいて、思考の「発散」と「収束」が非常に重要な概念となります。
「発散」:自由な発想や創造的な思考を促すこと
「収束」:発散によって集まった情報の中から必要なものを選択したり、順序立てたりする活動
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授業の中で児童生徒が自らの考えを作っていく際には、この「発散」と「収束」が連鎖的に繰り返されていきます。先生が授業をデザインする際には、思考の「発散の場面」と「収束の場面」を意識的に、バランスよく取りいれることを意識することで、児童生徒が自ら考えをつくりやすい授業を作ることができます。
例えば、「発散」の場面が強くなりすぎると、思考が拡散しすぎて、児童生徒は自らの考えをまとめることが難しくなります。逆に、「収束」の場面が強くなりすぎると、児童生徒の創造性が制限されてしまい、新しい考えが生まれにくくなります。
シンキングツールで思考を可視化することによって、発散と収束を効果的に行うために有効な手段です。教師は、児童生徒の理解度や目的に合わせて、適切なツールを選択し、効果的に活用することが重要です。
能力育成の活用例
国語教育でのシンキングツールの活用
シンキングツールは頭の中にある思いや考えを視覚的に表すことができます。 そのため、 客観的に「 考え」 を見ることができ、「 考え」 と「 考え」 の関係に気がついたり、複雑な関係を整理したり、 考える順序や手順を示してくれるものです。
またその「 考え」 を他者と共有したり、 協働してアイデアを出すことや考えを深めたりすることもやり
やすくなります。
そんな機能を持つシンキングツールをロイロノートスクールの中で使うことができ、 児童生徒のそれぞれの端末の中の通常ノートで自分の考えを広げたり深めたりすることができます。 さらに共有ノートを用いると他の児童生徒と相互に端末上で考えをやりとりすることができます。
「話す」活動・「聞く」活動
「話す」活動ではシンキングツールを使って話の流れを視覚化し、論理的な構成を検討することで、自分の考えをより明確に表現できるようになります。
また、「聞く」活動では、シンキングツールを使って、話題に関する情報を整理・分類することで、聞いた内容を正確に把握できます。
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「書く」活動
「書く」活動では、シンキングツールを活用することで、児童生徒が自らの思考・アイデアを整理し、適切な表現を選びとる助けとなります。
これによって、児童生徒は自分の考えをより論理的に、わかりやすく文章で表現しやすくなります。
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「読む」活動
「読む」活動において、シンキングツールを使うことで物語の内容を整理し、より理解しやすくなります。
この際、教員は、児童生徒が自由に思考を展開できるよう、答えを誘導しすぎないようにすることが大切です。
答えの誘導が強すぎると、シンキングツールが単なるワークシートになり、児童生徒の思考が制限されてしまいます。
シンキングツールのメリットである「思考の可視化」を生かし、児童生徒が主体的に「考えを作る」場を提供することが重要です。
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授業事例
表現活動ごとの事例
科目ごとの事例
校種・学年ごとの事例
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