マルシュロレーヌがBCディスタフを制覇したこと、あるいはドゥラメンテについて
今年自分はどんなゲームやったかなあ…というか、積んでいるものを消化しないとですね。
ウマ娘のBGM、いいですよね。レース中の音楽の盛り上がり方が「競馬観戦してる時の俺の心境」っぽくて好きです。逃げ馬が逃げられなかった時は蛍の光とか流してくれ。競馬でも流してくれないかな。競走馬に迷惑かかるからダメか…
競馬ファンの皆さんこんばんは。競馬ファンではない皆さんもこんばんは。
今年も1年、競馬お疲れさまでした。
今年もたくさんの出来事がありましたね!
ソダシの活躍や、コントレイル、グランアレグリアの引退、横山武史の大活躍などなど…挙げればキリがありません。
https://gyazo.com/f69838b68797fe802f521a06ac5823f5
ソダシは今週日曜日にチャンピオンズCに挑戦しますね。牝馬のダートG1制覇という時点でかなり珍しい(現時点で2頭(サンビスタ、ホクトベガ)のみ)のですが、その上白毛馬。勝ったらこれもまた、競馬史に残る偉業と言えそうですね。
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コントレイルのラストラン、そして引退式は不覚にも涙してしまいました。
福永騎手も仰っていましたが、コントレイルは血統背景や馬格から言っても長距離・中距離を得意とする馬ではないと思います。古馬になって本格化した際には、どちらかと言えば安田記念なんかのマイル戦の方が向くタイプだったんじゃないでしょうか。(その点もあって、秋天のコントレイルを凌ぎ切ったエフフォーリアの底力には恐れ入ります。)
また、今後のことを考えた結果調教も攻めきれない所がありました。
調教、「軽く出せる時計」としては破格でしたが、多分本気で走るともっと凄いんでしょう。
JCではラストランということで漸く本格的に攻められた部分もあったと思います。前走から-8kg、究極の仕上げでしたね。
三冠馬としての期待の声も高かったのですが、その分「将来を見据えた走り」を続ける必要があり、ベストパフォーマンスを出しきれない日々の続いたコントレイル。ラストランのJCに、三冠馬としての意地を見ました。
この話、長くなりそうですのでこの辺で…長々と語って欲しい方がもしいたら、声かけてください。
とはいえまだ12月も始まったばかり。有馬記念も、ホープフルSも残っています。
ホープフルSは、一昨年は無敗3冠馬コントレイルが制覇したり、その前年はサートゥルナーリアと、中々レベルの高いレースになりつつあります。過去にはレイデオロやエピファネイア、ヴィクトワールピサなども制していますね。
更に遡れば、アドマイヤベガやアグネスタキオン、ナリタタイシンなどなど…。
去年のダノンザキッドは少し残念でしたが、マイルCSで力の片鱗を見せてくれたのでオッケーです。
"ラジオNIKKEI杯"から"ホープフルS"へ命名変更があったのが2014年、そこからG1昇格したのは2017年と歴史の浅いレースではありますが、皐月賞と同じ条件というのもあって、今後はより一層クラシック戦線のメインロードとなるレースだと言えそうです。
有馬記念は…まあ、皆さんご存知の通りです。今年はやや混戦ムードですが、果たして誰が出て、誰が勝つのやら。
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さて本題。今回はマルシュロレーヌがBCディスタフを制覇したこと、あるいはドゥラメンテについてというテーマでした。
まずは、マルシュロレーヌの話をしましょうか。
今年11月、アメリカデルマー競馬場にてブリーダーズカップが開催されました。
米国競馬最大の祭典とも言えるこの催し。
2日間の開催で、G1を14回行い、今年の賞金総額は2800万ドルに登りました。日本円にして約30億円。とんでもない規模の大会です。
その中でも最高賞金額のレースはブリーダーズカップ・クラシック。3歳以上のダート10f(2000m)戦で、その賞金総額は600万ドル(約6億円)。日本の最高賞金となるレース、有馬記念の賞金総額が5億7千万円であることと比較するとその規模がわかりやすいかもしれません。
また、ここで押さえておいてほしいのは、最高賞金のレースがダートレースであるということですね。
米国競馬はダートが主流です。詳しくは後ほど説明しますが、日本とは考え方が違うんですよね。
今年は日本馬が合計6頭(ラヴズオンリーユー、ヴァンドギャルド、マテラスカイ、ジャスパープリンス、ピンシャン、そしてマルシュロレーヌ)が参戦。
その中で、2頭が栄冠をその手に掴みました。
まず一頭目、ラヴズオンリーユー!
https://gyazo.com/b8ed7e3256678d56d6a6b1efea5d7e8c
ブリーダーズカップ・フィリーズ&メアターフを制しました。
牝馬限定戦、芝2200mのレースでしたが、現地オッズとしては、イギリス牝馬三冠レース(※1)となる英1000ギニー、オークスなどを含むG1を5勝しているラブと人気を分け合う形でした。
日本でのオッズは一番人気。
https://www.youtube.com/watch?v=W663ft5hQvo&ab_channel=NBCSports
「ゥゥラァヴズオンリィィユゥウウ!!!!!!!!」
勝利後、川田騎手が笑顔を見せたことや、馬上で花びらを投げ上げる写真なども話題になりましたね。川田が笑うなんて…!!!
日本で初めてのアメリカ芝G1を制したのは2005年シーザリオ(アメリカンオークス)で、ブリーダーズカップフィリー&メアターフは過去にはヌーヴォレコルトやレッドディザイアなども挑戦していましたが、中々勝利を掴むことはできませんでした。
日本馬初のブリーダーズカップ制覇!!!!と日本中が沸き立つ中、事件は起きました。
二頭目、マルシュロレーヌ
https://gyazo.com/432bf89a3a12d7a42cccb255558ce4a0
まず、マルシュロレーヌがどんな馬か、という説明をしておきましょう。
オークス馬で、かつQE2世カップを制していたラヴズオンリーユーと比べると知名度はかなり低いと思います。
マルシュロレーヌは、父オルフェーヴル・母ヴィートマルシェ(母父フレンチデピュティ)という血統で、3歳の頃は芝を主戦場としていましたが、イマイチ成績が奮わず。
心機一転、ダートに戦場を移した所連勝。その勢いでJBCレディスクラシックへ!!!……残念ながら3着。
その後もG2,G3には勝ち星を上げるも、帝王賞8着とG1勝利には恵まれず。
ここが競馬の非常に面白いところなんですが、ハッキリ言ってしまえば、マルシュロレーヌは、日本ダートにおいては有力候補には上げづらい競走馬です。勿論、決して能力は低くないと思うのですが、過去のG1馬と比較してどうか…と言われると強くは言いづらいですね。
そんなマルシュロレーヌのレース映像がこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=0m5SpF7JAbo&ab_channel=NBCSports
粘るか!?粘るか!?粘るか!?粘った!!!!!!!!!!!!!!!!!!
いやあすごい。これだって、勝ちタイム1:47:67ですよ。中央全競馬のダート1800mレコードと同タイムですよ。とんでもない。しかも良馬場。
でもこれが、米国競馬なんですよね。
まずそもそも、日本のダートと米国のダートは異なるものです。
日本のダートは砂です。砂。青森県の六ケ所村で取れる砂が主流ですね。
米国のダートは土です。土。煉瓦の赤土なんかをペタペタしてるらしいですね。
その御蔭で、米国のダートにおいては日本の芝のようなタイムが出ます。同じダートでも、日本の場合は雨が降って固まったときに出るタイム、とも言えますね。
また、その性質上、とにかくぶっ叩いて前行って粘りきれるかどうかみたいなやり方が結構主流らしいです。アメリカこわ~。
過去にアメリカのダートG1に挑戦した日本馬は何頭かいますが、そのどれもが、そもそも米国競馬のスピードについていくことすらできずに敗退しました。
日本のダートで強い = 米国のダートで強いではないことが、解って貰えればと思います。
※ここに目をつけたのが矢作調教師、インタビューでも仰っていましたが、
「芝のレースもこなせる馬で挑戦したいと思っていた」らしいですね。
また、アメリカにおいては、芝よりもダートの方が価値が高いです。
https://gyazo.com/079511dd819d2afba39ebd4b0027c474
これはデルマー競馬場のコース図ですが、日本競馬と違ってダートコースが外側にあるんですよね。
これこそ、米国競馬にとってどちらが価値あるレースなのかを明確に示していると思います。
芝のレースは、米国馬にとってはあまり重要でないレースなんですよね。
だからこそ、海外馬による芝G1の制覇の歴史はそれなりにあります。
https://gyazo.com/2f42f3e6811b18bc5b06b485b50b4599
さて、マルシュロレーヌが制覇したBCディスタフですが、過去の優勝馬を見てましょう。
https://gyazo.com/b6083b73dcf2a1ceb6c01209b19cd329
ほぼ全馬米国馬、良くてカナダ馬です。
(お、バヤコア・パーソナルエンスン君じゃないか。昨日のホシくんが言っていたキングヘイローのお母さんのグッバイヘイローと競い合ったライバルだね。)
ちなみに先程紹介したBCクラシックについても同様。
https://gyazo.com/31f8d2a62782fed046ad7eba516b2644
賞金総額も高額で、日本馬も何度か挑戦していますが、全く歯が立ちません。
※アルカングはシャンティイ競馬場のイスパーン賞(日本では、エイシンヒカリなどが制している、芝1800mのG1)、レイヴンズパスはQEⅡ世S(イギリスG1。香港のレースはQEⅡ世Cで、ちょっとだけ違います!けどどちらも芝のレース。)を制した馬。
このことからも、「アメリカダートG1で勝ちたいなら、芝もこなせるダート馬を連れてこい」ということなのかもしれないですね。
個人的には、アメリカダートG1制覇については、凱旋門賞よりも、ずっと、ずっと先のことだと思っていました。
明らかに競技が違うんですよ、日本のダート競馬と。
カジノドライヴが戦った、タイキブリザードも戦った、エスポワールシチーも戦った。
けど全然歯が立たなかった。
凱旋門賞と違って、「頑張ればその内…!」という気配も全く見えませんでした。
そんな中での、マルシュロレーヌのこの偉業。
本当に素晴らしいことで、ただメディアはラヴズオンリーユー一色だったことが少し残念だったな、と思い、
どうかこのマルシュロレーヌが成し遂げたことの素晴らしさを知って欲しいという一心で筆を執りました。
…ちなみになんですが、過去にBCディスタフを制した競走馬達の繁殖牝馬の落札額って、すごいんですよね。
昨年の優勝馬、BCディスタフを2勝したモノモイガールは約10億4500万円で取引されました。
また、更に前年のブループライズは約5億円など、非常に高額で取引されることが多いです。
マルシュロレーヌもきっと、海外で超高額で取引されることでしょう。
日本馬にとって、あと残すべき懸念点は凱旋門賞ですね。いや、世界にはまだたくさんのG1があるので、それらの制覇も目指していってもらいたいですが。
凱旋門賞も、きっとちゃんと適正のある馬が行ければいいんでしょうけど、中々難しい所です。クロノジェネシスが案外だったのが、少し残念ですね。
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ドゥラメンテのことについても、記事にしたかったのですが、残念ながら時間が近づいてきてしまいました。
ドゥラメンテの訃報は本当に残念でした。
当時、競馬を始めたばかりの頃で、「こんなにも、こんなにも強い馬がいるのか!!」と驚愕させられたのが、ドゥラメンテの皐月賞でした。
https://www.youtube.com/watch?v=7xcYdbHGTyQ&ab_channel=%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%AC%E7%AB%B6%E9%A6%AC%E3%80%90%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%80%91
外から何とドゥラメンテーーー!!!!これほどまでに強いのか!!!!
4コーナーで外に振られながらも、他馬を完全に置き去りにした末脚で余裕の一着。
※鞍上のミルコ・デムーロは、入線前にガッツポーズをしたことで制裁を受けましたが、そりゃあこれなら入線する前にガッツポーズもしたくなるよ。
衝撃的な勝ち方でした。2着のリアルスティールも、この後ドバイG1を勝つような馬、同期のキタサンブラックは皆さんもご存知のとおりです。
その後のダービーも素晴らしい走りでした。
https://www.youtube.com/watch?v=7YFirviV3xA&ab_channel=%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%AC%E7%AB%B6%E9%A6%AC%E3%80%90%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%80%91
(さらにはタンタアレグリア蛯名ァ!はどこを見て喋ってんだ…?)
しかし、このダービー後に骨折が判明。クラシック三冠は夢と散りました。
とにかくまず、三冠レースに全て出走することが大変なんだよな、と思わされました。
休養後、3戦して引退。中山記念1着、ドバイシーマ2着、宝塚記念2着。
9戦5勝2着4回、連対率100%はとんでもないですよね。
種牡馬となってから、漸く新馬が出始めた頃。
残念ながら、9歳の若さで、ドゥラメンテは天国のターフに向かってしまいました。
(ちょっとだけ悲しかったのが、Twitterではあまり話題に上らなかったことですね…)
そんな今年の菊花賞で、タイトルホルダーが父の無念を晴らしてくれました。
https://www.youtube.com/watch?v=mGakvpq9Khk&ab_channel=%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%AC%E7%AB%B6%E9%A6%AC%E3%80%90%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%80%91
これは一頭ものが違った!!!
いやあ、嬉しいなあ。感動したなあ。
親の無念を子が晴らす。親の偉業を子が受け継ぐ。
そんなドラマを魅せてくれるのが、競馬だと思います。
…時間が迫っていると言いながら、結構色々話してしまいました。
明日は、あーさーくんの メトロイドドレッドは時間がない人に優しいです。
時間がない人でも、短いサイクルでやれるゲームは良いですね。
記事を楽しみに待とうと思います。
23時56分!!!!!!滑り込み!!!!!!!!!!!!!!!!
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※1 牝馬三冠は、牝馬クラシックとは言わないです。クラシックはあくまで牡馬のものらしいですね。
日本でもそうで、牡馬クラシック、牝馬三冠です。